とんねるずの凋落




今年の3月に『みなさんのおかげでした』が終了して以来、とんねるずの二人をテレビで見かけることが無くなった。石橋貴明は深夜でレギュラー番組を持っているが話題になることもないし、そのうちひっそりと終わりそうな雰囲気だ。

木梨憲武も一時、映画の番宣がらみで見かけたものの、それから音沙汰がない。正月と夏休み時期に放送されているテレビ朝日の『スポーツ王』も、60歳近い彼らではもう体力的にきついだろう。かつてライバルと目されていたダウンタウンも決して視聴率は取れていないものの、ピンとコンビでそれぞれたくさんのレギュラー番組が続いている。この違いは何なのだろうか。


デビュー当時のとんねるずといえば、権威や権力に反抗し秩序を破壊する若者というイメージで、過激で乱暴な芸風は世間にインパクトを与え、たちまち人気者になっていった。

しかしそんな若者が芸風を変えずキャリアを重ね、ベテランとか大物とか呼ばれる年齢になると、年長者が若手にパワハラをしているように映ってしまうのだ。ことに石橋貴明は実力以上に見せるための虚勢を見透かされ、視聴者に嫌われるという傾向が出来上がってしまったようだ。

一方、木梨憲武には自由人キャラというイメージがある。ただこのキャラにも好みが別れるところで、一番良くないのは木梨がハプニングと無秩序をはき違えている所だろう。予定調和を嫌う木梨はときに番組企画の方向性を無視し、突発的・感覚的に行動を起こす。

こういうハプニング的な要素を視聴者が面白がると思ってのことだろうが、番組が無秩序な方向に行き、戸惑う視聴者も多かったのではないだろうか。結果、製作者にとって自由人でありすぎる木梨憲武は、ピンでは扱いにくい芸人となっていると思う。

一方、ダウンタウンはとんねるずに比べると、まだ視聴者のニーズを捉えているといえるだろう。ダウンタウンもすでに権威者の立場にあるのだが、笑いに対し目線はそんなに高くない。彼らには依然として熱烈なファンが存在し、視聴率は取れなくても支持する層は多い。

それとダウンタウンが、吉本という横と縦の広がりを持つ事務所で活躍しているのに対し、独立事務所で活動するとんねるずには幅という部分で仕事に限界があるように見える。両コンビともいつも決まった仲間で番組を作るという印象があるが、より広がりと幅のないとんねるずのほうが、時代に取り残されてしまったのかもしれない。

しかしとんねるずが、いずれ凋落の時期を迎えるのは避けられなかっただろう。過激で乱暴な芸風はそのうち高慢さに繋がってゆき、視聴者の好感度を下げていったのに気付かなかったのは痛い。何年か前に、誰にも求められていないような下らない映画を作り、仲間内だけではしゃいでいたのは、その驕りを象徴していたと言えるだろう。

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