「007は二度死ぬ」映画と原作に描かれた日本

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テレンス・ヤング監督『007ドクター・ノオ』は低予算映画にもかかわらず、スタイリッシュでテンポの良い演出と、主演ショーン・コネリーの優雅でセクシーなスパイヒーローの役が評判を呼びヒット作となった。こうして007映画はシリーズ化され、新作のたびにスケールアップしてゆく。

日本を舞台としたシリーズ5作目のルイス・ギルバート監督『007は二度死ぬ』(1967年)は、脚本家が1作目から担当しているリチャード・メイバウムに代わりロアルド・ダールになっている。ちなみにロアルド・ダールは児童書『チャーリーとチョコレート工場』などを書いたファンタジー系の作家だ。

話のスケールを広げようとしてダールを起用した結果、映画は荒唐無稽かつ話の締まらない作品となってしまった。興行収益はともかくボンドシリーズとしての評価は低い作品となり、日本のファンにもヘンテコ日本が描かれた作品として珍品扱いされる映画となっている。

例えば、和室のど真ん中にある風呂に浸かるジェームズ・ボンドへ美女たちが群がったり、日本の特殊部隊の格好が刀を背負った忍者風だったりする。また、国宝姫路城の漆喰に平気で手裏剣を突き刺すシーンもあって、日本人としてはトホホな感じだ。

極めつけはショーン・コネリーが日本人に扮するシーンだろう。スコットランド民族のコネリーが“平たい顔族”に見えるはずもなく、首に手ぬぐいを巻き麦わら帽子を被って猫背で歩く姿は、シリーズ屈指の珍妙ボンドである。

まあ昔の娯楽映画だし、欧米人の求める日本人のイメージなど当時はこの程度のものだったろう。ちなみにこの映画に登場するスポーツカー、トヨタ2000GTは日本の幻の名車として有名だ。

映画の3年前に出版されたイアン・フレミングの原作は、そこまでの荒唐無稽な描写はなされていない。それどころか日本についてはかなり調べており、来日してちゃんと取材をした様子も窺える。日本の風俗や文化・習慣については随所で描写されてており、思想や民族性についての考察も多く、ストーリーよりそっちの方に力が入っている印象だ。

ただ欧米人ならではの誤解やイメージもあり、日本人は両親や先祖に恥をかかす事より自決を選ぶとか、いつの時代の話だという感じだ。ゲイシャガールもちゃんと出てくるし、ボンドがトルコ風呂を楽しんだり忍者風の特殊部隊と訓練したりと映画に繋がるような変な描写もある。

最後は九州の海岸沿いにある城にボンドが乗り込み、甲冑を着け日本刀を振り回す宿敵ブロフェルドを倒して絞め殺すという終わり方になっている。このへんは既に映画化を意識して書いているのだろう。

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