NHKスペシャル「ロストフの14秒」




8日のNHKスペシャル『ロストフの14秒 日本vs,ベルギー 知らざれる物語』ではあの最後の鮮やかな逆転劇には何があったのか、映像とインタビューで徹底的に掘り下げていた。ちなみにロストフとは試合が行なわれたロストフ・アリーナのことで、14秒は本田のコーナーーキックからカウンターで逆襲され決勝点を決められるまでの時間である。

ベルギーの勝利への高速カウンターは鮮やかだった。この14秒間のプレーで浮き彫りになったのは、一瞬の判断の差と意識の違いである。僅かに思えるクォリティの積み重が、結局勝負どころの明暗を分けたのだ。

カッペッロ監督は、ベルギーに逆転をくらうきっかけとなった本田のコーナーキックを批判していたが、守って延長に入りたくない日本には必然的な選択だった。番組のインタビューで選手たちが答えているように、延長を戦う体力的・精神的余裕が彼らにはなかったのだ。

この直前のプレーで本田が得点を決めれば良かったのだろうが、決定率が低い彼のフリーキックではもともと無理だった。映像で見るとコーナーに飛んでいった惜しいシュートに見えるが、名手クルトワが相手では甘いフリーキックだったと言わざるを得ない。ゴール上隅のコーナーぎりぎりに正確なボールを蹴り込むか、もっと駆け引きで工夫し裏をかかない限りクルトワからゴールを奪えない。それが無いから、普通レベルに過ぎない本田のフリーキックはなかなか決まらないのだが。

クルトワが本田のコーナーキックをキャッチしてデブルイネが走り出したとき、横にいた吉田は一瞬ボールから目を離し下を向いている。経験豊富なはずの吉田でもこんな隙を見せてしまうのかと、がっかりしてしまう。これがプレミア中堅チームのレギュラーともいえない選手と、ビッグクラブの一流選手との差だろう。

そしてデブルイネはあえてタッチの大きなドリブルをし、守備に残っていた山口蛍を自分の方へ誘い出している。ルカクをマークしていた長友はデブルイネの意図に気が付いていたが、当の山口はまんまとその罠に嵌まってしまう。山口が奪いに行ったところを外され、サイドのムニエにパスを通されてしまったのだ。これも海外に馴染めず直ぐにJリーグに戻ってしまい、質の高いプレーを経験出来なかった山口の限界なのだろう。

長友は絶体絶命の状況でも最良のプレーを選択した。しかし、レベルの高い環境で修羅場を切り抜けてきたベルギーの方がやはり一枚上手だった。長谷部が中央に走り込んできたルカクのシュートコースを塞いだが、ルカクはムニエの横パスをスルーした。スルーの可能性を感じていた長谷部は、一瞬足を伸ばすが届かない。結局後ろから走ってきたフリーのシャドリにボールが渡り、決勝点を決められてしまった。これが勝負を決めた“ロストフの14秒”だ。

だが、ベルギーの逆転カウンターが決まる以前に、日本が延長を嫌った時点で勝負は着いていた。たとえ運良く延長を凌ぎPK戦まで持ち込めたとしても、世界最高峰キーパーの牙城を崩すのは難しかっただろう。

この14秒には日本が教訓とすべきことが多く詰まっているが、ここだけ取り出し分析しても今後における日本の勝利には繋がらない。その前に早い時間に2-0とリードしたことが、返って日本の試合運びを難しくしてしまった。そして日本は途中投入されたフェライニとシャドリの対処を誤り、終盤の逆転負けへと追い込まう。過去にも同様の経験をしたにもかかわらず、日本は教訓を生かせず将来に課題を残してしまったのだ。

日本は2019年に開催されるコパアメリカブラジル大会に招待されている。強豪国と真剣勝負をする数少ないチャンスなので、日本は是非この大会で経験を積んで今後に活かして欲しい。

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