ジョージ・ミラー「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

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過激な近未来終末映画

2015年に話題を呼んだ『マッドマックス 怒りのデス・ロード』がBSプレミアムで放送されていた。この映画は地上波で放送されていなかったと思うが、確かに刺激の強いR-15指定のアクション映画ではある。もしかしたらシャーリーズ・セロンの隻腕が、地上波自主規制の対象となったのかも知れないが。

監督は1作目からこのシリーズを作っているジョージ・ミラー。医者から映画監督に転身したという変わり種で、70歳近くでこの過激な映画を作ったというエネルギッシュな監督だ。79年の第1作はオーストラリアの片隅で造られた低予算映画だったが、世界中でヒットしこの映画は27年ぶりに製作されたシリーズ第4弾となる。

このシリーズを通して作られたのが、核戦争で現出した荒涼とした近未来という世界だ。映画では最新のVFX技術で荒涼とした世界をリアルに描き出し、常識外れのカーアクションが全編通じて繰り広げられる。

そのアクション描写の8割は実写で、CGは映像処理の補助や味つけとして使われているだけというのが凄い。終盤のクライマックスシーンなど、実際に人が運転したままトレーラーを転覆させているが、もう狂気の沙汰と言うしかない。

シャーリーズ・セロンの格好良さ

この世界観に引き込まれた観客は、もう画面から目を離せなくなったしまうだろう。細部まで拘り装飾された車やカルトな装いのウォーボーイズ、走る車上の棒振り隊などビジュアルがすべて芸術作品で刺激的だ。

ドラムとマシッブ・スピーカーを搭載し火を噴くエレキギターを抱えた奏者を吊っているドーフ・ワゴンなんて、普通冗談にしか見えないだろう。でもこの狂気の世界では、宗教的な意味を持つ厳かな舞台装置になってしまうのだ。

女大隊長フェリオサを演じるシャーリーズ・セロンがいい。女性ながら勇敢で強く、その正義を貫く偉丈夫さが格好いいのだ。セロンは自ら提案してあの坊主頭にしたそうだ。映画界屈指の美形女優なのに、その思いっきりの良さは素晴らしい。

マッドマックスを演じるトム・ハーディーはシャーリーズ・セロンにちょっと喰われた感じがあるかな。でもマッドマックスはたまたま巻き込まれてフェリオサたちを助けただけだし、この映画では脇役的ポジションでも構わないだろう。あくまで映画の主役は車だしね。

現代の『駅馬車』

この映画の疾走感はジョン・フォード監督の西部劇『駅馬車』を思い起こさせる。広い砂漠を駆け抜ける駅馬車とそれを背後から襲うアパッチ族というのは、そのまま『マッドマックス』の風景である。そして駅馬車と乗客を救うのもたまたま乗り合わせた流れ者のリンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)なのだ。

まあ、第一作目からこの映画にはアウトローの西部劇といった趣があり、そこにカーマニアの拘りが乗っかっている。荒廃した近未来という設定も最初は制作費節減のためだったが、この映画では末世思想にまで昇華したという感じだ。

ジョージ・ミラー監督はスピルバーグより一つ上の御年74歳だが、創作意欲は盛んで既にマッドマックス5作目の制作が決定しているようだ。こんな映画を作るのによほどの体力と精神力が必要だと思うが、その情熱とタフネスさは尋常では無い。

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