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007 サンダーボール作戦/007は二度死ぬ

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大規模な海中アクション『サンダーボール作戦』

007シリーズの第4弾として製作されたのが、65年の『サンダーボール作戦』。1作毎にスケールアップしてきたこのシリーズだが、『サンダーボール作戦』ではクライマックスで大規模な海中アクションが繰り広げられ、観客を圧倒する。

スペクターのNo,2ラルゴを演じるのがイタリア人俳優アドルフォ・セリ、ボンドガールにクローディーヌ・オージェなど。 『ロシアより愛をこめて』以来2作ぶりに、テレンス・ヤングが監督を務めている。

監督のテレンス・ヤングが、水中撮影はテンポが落ちると演出を嫌がったため、この海中アクションシーンはリュウ・ブラウニングやラマー・ボーレンといった水中撮影のエキスパートが担当した。撮影は24人のカメラマンとエキストラのダイバー45人を使い、ハバマの海で行なわれている。

最新ギミックの数々

リュウとラマーの2人は大掛かりな水中撮影のため、手や腕から複雑な信号を送る装置を開発しダイビングチームに指示を与えた。

そしてさらにこの海中アクションシーンのため考案されたのが、2人乗りの潜水艇や水中ジェットスクーター、連射可能な圧縮銃付きの水中ソリなどだ。これらの最新装備が、アクションが緩慢になりがちな水中の格闘シーンに迫力を与えている。

また映画のプレタイトルでは、ボンドがジェトパックと呼ばれるジェット噴射装置で空中に浮かび上がり観客を驚かせた。これは実際に撮影して撮られたシーンで、米ヘリコプターメーカーの開発した装置を使っている。

同装置は84年のロサンゼルスオリンピックや96年のアトランタオリンピックでも、開会式のデモンストレーションで登場している。そしてこの4作目も大ヒットし、シリーズ最高の配給収入を記録した。

作品を発表するたびに評判が高まっていた007シリーズだが、その人気に水を差すことになったのが5作目、67年の『007は二度死ぬ』だ。日本を舞台にしたこの作品は、もはや荒唐無稽を越え滑稽さが目立つ作品となっている。監督はルイス・ギルバート、ボンドガールに若林映子と浜美枝。日本の諜報機関責任者を丹波哲郎が演じている。

日本観光映画『007は二度死ぬ』

まず、ショーン・コネリーが珍妙な姿で日本人に扮したり、ダサい忍者風コスチュームを纏ったりと、それまで築き上げたジェームズ・ボンドのイメージが台無しになっている。しかも日本を物珍しげに観光するという雰囲気が漂っており、アクション映画の緊張感が全体的に薄い。特に日本間に設置されたトルコ風呂で、ボンドが美女たちの接待を受けるシーンは噴飯ものだ。

さらに言うなら、米ソの宇宙船をジャックするスペクターのロケットや、火口に設けられた打ち上げ基地のデザインセンスが凡庸だ。

翌68年にキューブリックの『2001年宇宙の旅』が公開されているが、比べてしまうとそのセンスのなさが際立ち、大金をかけたセットが色あせて見えてしまう。(ちなみに基地のデザインを担当したケン・アダムはキューブリックの『博士の異常な愛情』で地下司令部の美術を担当している)

とにかく『007は二度死ぬ』は、図体ばかり大きくなって、色々なところが緩くなっているという印象だ。

終盤、海女に扮した浜美枝とボンドが海に潜るシーンがあるが、撮影の直前に浜が泳げないということが判明し、撮影に同行していたショーン・コネリーの奥さんが代役を務めている。だからこのシーンを注意して見ると、明らかに浜ではない白人女性が泳いでいるのが分かる。

全体的に緩いこの作品だが、1人乗りのオートジャイロ“リトルネリー”による敵ヘリコプター部隊との空中戦は、この映画の一番の見せ場と言えるシーンだ。このシーンは、“リトルネリー”の開発者自らが操縦し、離着陸を85回繰り返しながら宮崎県の上空で撮影された。だが空中戦の撮影では、ヘリに接近しすぎたカメラマンが片足を切断するという事故も起きている。

シリーズの転換期

『007は二度死ぬ』はヒットしたものの、右肩上がりだった興行収入は初めて前作を下回った。それ以上にファンタジーに傾いた作りが不評で、映画は厳しい評価を受けてしまう。しかも作品の人気が高まり規模も大きくなったことで、フラストレーションや窮屈さを感じていたショーン・コネリーが主役を退くと表明、シリーズは新しい段階を迎えることになる。

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