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女王陛下の007/ダイアモンドは永遠に

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新展開『女王陛下の007』

ショーン・コネリーが007シリーズを降板すると、6作目『女王陛下の007』のジェームズ・ボンド役にジョージ・レーゼンビーが選ばれる。

レーゼンビーはオーストラリア出身で、演技経験のないモデルだった。しかし格闘技やスキーでインストラクター並みの腕を持ち、その運動神経の良さを買われての抜擢となった。

監督はこれまで007シリーズの編集を手掛けてきた、ピーター・ハントが起用される。ハントは前作『007は二度死ぬ』で荒唐無稽に走り過ぎた内容を見直し、原作に近いシリアスなストーリーとタイトなアクションを目指す。

そのためこの映画には、奇抜な装備や大掛かりな武器も登場せず、ボンドガールも演技派女優ダイアナ・リグが選ばれた。

1作品に終わった2代目ボンド ジョージ・レーゼンビー

レーゼンビーは高い運動能力を生かして、本格的な格闘シーンを演じた。そして雪上で展開されるスキーチェイスや、ボブスレーコースでの激しいアクションは、ダイナミックかつスピード感に溢れたもので、斬新なアクションが楽しめる作品となっている。

しかし、ショーン・コネリーの作ったボンド像は強烈で、レーゼンビーではファンの抱いた違和感を払拭することが出来なかった。映画のアンハッピーな終わり方も、ボンド映画らしくなく観客に消化不良を起こさせたようだった。

こうして『女王陛下の007』はシリーズ中でも浮いた作品となり、興行収入は前作の半分程度まで落ち込んで、失敗作と見なされるようになった。

しかし後年、工夫を凝らしたアクションや真面目に恋愛を描いたストーリー、本物の大雪崩や雪山展望台の背景となる雄大な自然、テーマ曲やルイ・アームストロングの挿入曲などが評価され、今ではシリーズ中でもファンの多い作品の1本となっている。

失敗作と見なされた『女王陛下の007』だが、レーゼンビーには続投のオファーがあったようだ。しかしレーゼンビーは、この1本で嫌気がさし自ら降板したと語っている。だがプロデューサー側の話によると、レーゼンビーが身の丈に合わない大幅なギャラアップを要求したため、出演交渉が打ち切りにされたらしい。

レーゼンビーはボンド役に抜擢されたことで天狗となり、撮影現場では我儘に振る舞ったり、馬で共演者を追いかけたりと行儀の悪さを発揮した。のちにレーゼンビーもこれらの行ないがチャンスを逃すことになったと反省しており、どうやら降ろされたというのが真相らしい。

コネリーボンド復活 『ダイアモンドは永遠に』

次作『ダイアモンドは永遠に』製作にあたり、新しいボンド役としてアメリカ人俳優のジョン・ギャビンが選ばれ、仮契約のサインまで終わっていた。

だが配給・製作のユナイテッド・アーティスツがコネリーのボンド役復帰を熱望、社長自らが出演交渉に当たる。その結果、高額の出演料+配収インセンティブと2本の主演作品製作を条件に、コネリーが再びボンドを演じることになった。

監督はガイ、ハミルトンで、主題歌を歌うのはキャリー・バッシー。『ゴールドフィンガー』でも起用された二人だ。そして『ダイアモンドは永遠に』は71年に公開される。この作品は前作のシリアス路線からまた大幅な変更が行なわれ、シュールでユーモア度の高い内容となった。

宿敵ブロフェルドは顔を整形、何人も替え玉がいるという原作からかけ離れた設定。ボンドガールのティファニー・ケイスはオツムの弱いお笑い担当。

ゲイのウイントとキッドは殺しと会話を楽しむ異色のコンビだが、ぬるい手口で何度もボンド殺害に失敗、最後はあっさりやられちゃう間抜けさ。そして肝心のボンド役ショーン・コネリーも、贅肉が付いたり皺が増えたりで劣化がハゲしい。

その他にも月面を横切るボンドとか、水着の女用心棒バンビちゃんとサンバーちゃんとか、片輪で走行する車の傾きの左右が、入りと出で違うなど、シュールさと緩さ満載の作品となっている。それでもこの映画は『女王陛下の007』を大幅に上回るヒットとなり、興行収入は『007は二度死ぬ』程度に回復した。

このあと3代目のボンドは、軽妙さが持ち味のロジャー・ムーアが務めることになり、シュールでコミカルな路線はしばらく続くことになる。

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