ダニエル・クレイグ「007 カジノロワイヤル」

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ダニエル・クレイグの抜擢

『ダイ・アナザー・デイ』はヒットしたもののファンの評判は悪く、高級なお酒にスポーツカー、そして美女に冒険にと浮き世離れした諜報部員、ジェームズ・ボンドの物語は時代遅れとなりつつあった。

しかもマット・デイモン主演『ジェイソン・ボーン』シリーズの、スピーディーでスタイリッシュなスパイ・アクションの登場に、ボンドの大味な立ち回りは古くさく見えた。そうしたシリーズの転換期を察したイオンプロのバーバラ・ブロッコリは、時代に添ったシリーズの方向性を模索する。

こうして、イアン・フレミング原作のシリーズ第1作目『カジノ・ロワイヤル』の映画化権を得たイオンプロは、原点回帰を目指したリブート作品の製作に取りかかった。そして前作まで主役を務め続投を望んでいたピアーズ・ブロスナンに替え、6代目ジェームズ・ボンドに選ばれたのがダニエル・クレイグだ。

04年のサスペンス映画『レイヤーケーキ』の主役でその存在を認められたクレイグは、たちまち新生ボンドの有力候補となった。そして、スクリーンテストでの素晴らしい演技により、高い評価を受けて正式にボンド役が決まったのだ。

原点回帰 『カジノロワイヤル』

こうして06年にシリーズ第21作目『カジノロワイヤル』が製作される。監督は『ゴールデンアイ』をヒットさせたマーティン・キャンベル。キャストはボンドの上司・M役のジュデイ・デンチを除き一新された。

ボンドとカジノで対決する怪しい男、ル・シッフルにマッツ・ミケルセン。ボンドと共に行動し、愛し合うことになる女性ヴェスパー・リンドをエヴァ・グリーンが演じている。

映画公開に先立つ05年10月、世界中のメディアをロンドン・テムズ川に集め、疾走する高速ボートに乗った6代目ボンド、ダニエル・クレイグのお披露目が行なわれている。だがこの時、「金髪のボンドなんて有り得ない」とか「ロシアの殺し屋みたいだ」とファンの評判は散々なものだった。

あまりの評判の悪さに傷ついたクレイグだが、自分流のボンドを見せるしかないと演技に打ち込んだ。そして映画が公開されると評価は一変、歴代最高のボンドだと賞賛する声さえ上がる。『カジノロワイヤル』は、まだ荒削りなボンドが、“ダブルオー”の称号を得て初期の任務に当たる「ボンド・ビギンズ」の物語だ。

失った組織の資金の穴埋めを、カジノのカードゲームでのイカサマで取り戻そうとするル・シッフルの企みを、イギリス政府の命を受けたジェームズ・ボンドが阻止するという筋書きはほとんど原作通り。ボンドが裸で椅子に縛り付けられ、ル・シッフルに急所責めの拷問を受けるという場面もオリジナルそのまま。

危険なアクションの連続

クレイグは、セクシーで優雅な英国スパイという伝統を踏襲しながらも、よりタフで危険な香り漂わせるボンドを創りだした。荒唐無稽な装備は登場せず、あくまで己の肉体で戦うボンド。しかも傷つけられれば苦しむし、本気で女性も愛する人間臭い男だ。

当時37歳、クレイグの身軽さと、パルクールの技を使った追走劇はスリル満点。高所でクレーンに飛び移る迫力のアクションは、安全ベルトこそ装着(デジタル処理で消去)しているが、実際にワンショットで撮られた危険なスタントだった。このあとの空港を走り回るアクションもスペクタクルで、今までのシリーズに見られなかったような激しい肉弾戦を繰り広げる。

映画に登場するボンドカーは、最新のアーストン・マーティンDBS。20万ドルは下らない高級車だが、空中に飛ばすため車体に空気砲を装填しジャンプ、派手に7回転するという世界記録で吹き飛んでいった。

クライマックス、ベネチアの運河に沈んでいく建築物でのアクションシーンは、約370万リットルの水を蓄えた屋外水槽に、建物内部のセットを造って撮影された。また崩れゆく建物は実物大の1/3、8メートル足らずのミニチュアが使用されている。

ラストシーン、「ボンド、ジェームズ・ボンド」と名乗ると、初めて007のテーマ曲が流れ新生ボンドが誕生する。『カジノロワイヤル』は歴代最高のヒットを記録し、作品の内容も賞賛された。そして主演のクレイグも、英国のアカデミー主演候補になるなど高い評価を受ける。

凡作 『慰めの報酬』

その好評を受け08年に作られたのが『慰めの報酬』 物語は前作『カジノロワイル』のエンディングから1時間後という、シリーズ初の続編作品だ。プレタイトルはいきなり、アストンマーティンDBSとアルファロメオ159による激しいカーチェイスシーン。

このあとも迫力の肉弾戦やバイクによる追撃、ボートチェイスに銃撃戦、航空機スタントからのホテル大火災と、シリーズ最短の108分でめまぐるしく物語が展開する。適役やボンドガールの存在感が薄いなど物足りない点もあるが、クレイグの荒々しい魅力は十分に引き出されている作品だ。

映画の最初では未熟さをMに指摘されていたボンドだが、ラストではプロフェッショナルとして成長した姿を見せる。まあ、多少とってつけた感がないでもないが。

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