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いだてん第26回「明日なき暴走」人見絹枝物語

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女子オリンピック選手の先駆け 人見絹枝

主役が中村勘九郎の金栗四三から阿部サダヲ演じる田畑政治に交替した、大河ドラマ『いだてん』第二部。 第26回「明日なき暴走」は女子オリンピック選手の先駆け的存在、人見絹枝を中心とした物語。

わちゃわちゃとしたクセの強い作りに評価が分かれ、視聴率も苦戦が続く『いだてん』だが、今週はシンプルな構成とテーマ、演者の力で見応えのある回になっていた。

新聞記者の人脈と、持ち前の行動力や押しの強さで大物政治家・高橋是清(萩原健一)から、ストックホルム五輪の選手派遣資金をせしめる田畑政治。そんな流れから、日本初の女子選手となる陸上競技・人見絹枝(菅原小春)の五輪参加も検討される。

女子アスリートの壁

絹枝は男性をも上回る体格と運動能力で、「化けもの」「バッタ」「六尺さん」などと男たちの誹謗中傷を受けていた。そんな偏見と世間の無理解に苦しむ絹枝に、二階堂体操塾の恩師・二階堂トクヨ(寺島しのぶ)が声をかける。

「絹枝さん、あなたご幸福ですか?」と尋ねるトクヨ。しかし絹枝は「幸福とはほど遠い気分です」と自信なさげに答える。さらに「婦女子はスポーツなどやるべきではない」と弱音を吐くが、トクヨは「それは違う。変えるべきよ、女子スポーツの未来を」と彼女を励ます。

人見絹枝を演じた菅原小春さん、本職はダンサーで演技は初めてらしい。だが孤独と不安を押さえ、己の使命を悟った時の佇まいが凜々しく素晴らしい。演技を越えた菅原さんの存在感で、ありのまま人見絹枝に見えてしまった。

執念の銀メダル

たった1人の女子オリンピック選手に選ばれ、メダルを期待される100メートル走に望む絹枝。だがメンタルケアの考えなどまるでない当時、関係者は彼女にプレッシャーをかけまくる。案の定、重圧で本領を発揮出来なかったのか、準決勝で敗退を喫してしまった。

「このままじゃ帰れません。私のせいで女子選手全員の希望と夢が絶たれてしまう」と涙ながらに800メートル走への出場を訴える絹枝。当時21歳だった若い女性の悲壮感と、責任を果たそうとする意志の強さには胸が熱くなる。

そして監督たちから作戦を授かり、初めて走る800メートル競技に挑む。この場面、シンボリックなスタジオのセットに、実際に残っている競技フィルムを交えてその激闘が語られる。クラウチングスタートでいきなりトップに躍り出る絹枝。上げすぎたペースを慌てて落とすが、馴れない中距離走に脚が重くなる。

「もっと腕を振れ」のコーチングにより見る見る順位を上げ、トップのラトケに追いすがる。このあとドラマでは省略されていたが絹枝は2位でゴールイン、壮絶な戦いを終え1位のラトケと共に気絶状態でトラックに倒れ込んだ。

「私は走ることが大好きです」

銀メダルを手に、日本へ帰国した人見絹枝。田畑政治の「お化け」と呼ぶ無神経さも、壁を乗り越えた余裕とおおらかさで受け流す。このあとラジオで女性に「勇気を持って下さい」と力強く訴える言葉は、決して流暢でなくても実直な人柄が相まって胸を打つ。

最後は「真っ先にメダルを見せたかった」と二階堂トクヨの許を訪れる場面。「あなたご幸福ですか」の問いかけに、今度は「はい」と自信を持って答える絹枝。そして「私は走ることが大好きです。私の走る姿を見て勇気づけられる人がいる限り、人見絹枝は世界中を駆け巡ります」と清々しく語る横顔が美しい。

人見絹枝はその後、女性スポーツの普及と女子選手の育成に尽力したが、病気を患い24歳の若さで死去。短いが大きな足跡を残した人生だった。

公式サイトにある菅原小春さんのインタビューを読むと、人見絹枝さんが抱えていた悩みやコンプレックスとは重なるところが多かったようだ。人見絹枝の苦悩と成長する姿が菅原さんそのままで、視聴者に思いが伝わった素晴らしいキャスティングだったと思う。

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