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007 スカイフォール/スペクター

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アカデミー賞監督の『スカイフォール』

08年の『慰めの報酬』公開後、MGMの財政難で新作の製作が遅れていた007シリーズだが、ようやく12年にダニエル・クレイグ主演3作目となる『スカイフォール』が公開された。

監督を務めたのは、舞台の演出経験が豊富で99年のデビュー映画『アメリカン・ビューティー』でカデミー賞に輝いたサム・メンデス。じっくり人間を描くタイプの監督でアクションの印象は薄く、制作発表時には驚きを持って伝えられた。

ボンドの敵役シルヴァを務めるのは、ハビエル・バルデム。コーエン兄弟監督『ノーカントリー』の、強烈な殺し屋役で印象を残した俳優だ。他の出演者に、ジュディ・デンチ、レイフ・ファインズ、アルバート・フィニーなど。

撮影監督はロジャー・ディーキンス。彼の生み出す美しいシュルエットは定評があり、上海の超高層ビルで繰り広げられる格闘シーンはシリーズ屈指のスタイリッシュさだ。

原点に戻ったボンド

アクションが描けるか不安視されたメンデス監督だが、冒頭のオートバイアクショからショベルカーと列車を使ったケレン味たっぷりのアクションは、ボンド映画の魅力に溢れなかなかのもの。列車の屋根でもつれるボンドとフランス人傭兵。味方の狙撃失敗でボンドは橋より落下、水中に沈みそのままオープニングタイトルへという流れもスムーズだ。

前作・前々作では新米エージェントだったボンドが、本作では一気にベテランに。ボンドの死から始まるこの作品は、ロートル扱いされるスパイが再生する物語でもある。Mはボンドの衰えを感じながら、彼の忠誠心とプロフェッショナリズムに期待をかける。

クリストファー・ノーラン監督『ダークナイト』に影響されたという本作品、バットマンとジョーカーが裏表の存在であるように、ボンドとシルヴァも似たもの同士として描かれる。シルヴァの目的はM。非情な組織人Mに見棄てられた過去を持ち、複雑な愛憎の感情を抱くシルヴァが己の目的を果たすべくボンドを翻弄する。

Mを守ろうとするボンド、プライベートカーのアーストン・マーティンDB5も登場、原点に戻った007の姿と激しい戦いが活写される。衝撃的な決着のあと、新しいMとマニーペニーも登場、007シリーズは次のステージに入ったことを宣言して終わる。

公開されると大ヒットした『スカイフォール』は世界で10億ドルを越す収益をあげ、MGMの財政危機も救うことになった。作品的評価も高くアカデミー撮影賞にもノミネートされている。

悪の組織の復活 『スペクター』

続いて製作されたのが15年の『スペクター』 版権の問題で使えなかった悪の組織スペクターと首領のブロフェルドが、『ダイアモンドは永遠に』以来久々に登場する。前作でリアル路線を突き詰めたシリーズは、今作はまた新たなアプローチの仕方で、いにしえのシリーズを現代風な感覚で描いている。

ただシリアス路線では嵌まっていたグレイグボンドも、劇画的な作りとなると硬さが見えてちょっと厳しい。せっかくのブロフェルドも造形を懲りすぎて、悪役としてはもどかしい。雰囲気たっぷりで、007シリーズらしい工夫されたアクションは満載なのだが、後半の展開には尻すぼみ感も覚えてしまう。

冒頭のヘリアクションは実写らしい迫力に溢れているものの、終盤の暗いマックスであからさまなCGが使われているのはもったいない。007シリーズならあまりCGを使わずに、生身のアクションで楽しませて欲しいところだ。

007シリーズ最新作『ボンド25(仮題)』は今年11月に公開予定。前作でジェームズ・ボンドはMI6を退職、後任の007として黒人女性のエージェント(ラシャーナ・リンチ)が登場するそうだ。ダニエル・クレイグはあと1作、ボンドを続けるという情報もあり、新時代の007シリーズがどうなるか興味深い。

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