今週の『アメトーーク!』は、【ツッコミ芸人が選ぶ、このツッコミがすごい!!】。博多大吉・中川家礼二・ナイツ土屋・かまいたち濱家・パンサー向井・霜降り粗品といったツッコミ芸人に加え、ボケの博多華丸・ナイツ塙らでツッコミ名人を取り上げ、その凄さを語り合おうという企画。
ボケを際立たせ、笑いを増幅するのがツッコミの腕。そのプロの技を専門家の視点で評価するだけではなく、笑いを生み出す構造まで解説してくれた、まさに自分が見たかった企画。期待に違わない面白さと興味深さで、保存版にしたくなるような回だった。
まず1番目、礼二が選んだ凄いツッコミは、サンドウィッチマンの伊達ちゃん。その評価点は、ツッコミに無駄がないところ。礼二のボケには重ねが多く、時としてネタを邪魔することもあるが、伊達ちゃんのは一言でツッコんで、笑いが来るというキレの良さ。
普通の芸人からすれば、伊達ちゃんみたいに短くストレートなツッコミというのは、怖くてなかなか出来ないそうだ。
また大吉先生が強調するのが、サンドウィッチマンがコンビとして声質がピッタリという解説。伊達ちゃんのツッコミがずっと頭に残るのに対し、冨澤のボケは流れるように消えていくので、常に新しい状態で笑っていられるという説明には本当に唸ってしまった。
そして大吉先生の選んだのが、この回の出演者でもある、ナイツ土屋伸之。塙が淡々と繰り出すボケに一個ずつ的確に返す土屋のツッコミは、出来そうで出来ない、まるで精密機械のように丁寧な技だと分析。また小峠は、ずっと声を張らないツッコミの凄さ、粗品は相づちで間を調整する部分の上手さを強調。
次に小峠が選んだのが、例えツッコミの名人・フットボールアワー後藤。相棒岩尾に対する「ハゲとるやないか」は、小峠によれば全ハゲ芸人が食らいたい伝統芸級のツッコミだそうだ。
また礼二が目を付けたのが、張らなくても大きい声を出しているように見せるテクニック。首の筋を浮かせるだけで大声を表現するという技の解説は、まさにプロならではの着眼点だ。
さらに塙は、後藤のツッコミを「ストレートも変化球もズバ抜けている」と力説。ツッコミの言葉に嘘がなく、広がりを意識しているからお客に伝わるという説明には思わず納得。
濱家の選んだのが、和牛の川西。そしてフィリップに書き出した凄さのポイントが、① 圧縮したビームのような声。② 心地よいリズム。③ ノータイム・ツッコミ。和牛漫才のツッコミを意識して見れば、本当に感心するくらいの上手さだ。自分のキャラよりネタの流れを優先、あんな役に入り込んだツッコミをする芸人はなかなかおらず、そこが川西の技量の高さだ。
向井が取り上げたのは、千鳥ノブ。そのワードセンスもさることながら、フレーズに「大〇〇」を付けるだけで、笑いのステージを上げてしまうという凄さ。ロケ番組で、この後ファミリーヒストリーに出演するという下り。
「大NHKの、大今田」という単純なボケフレーズで笑わせるなんて、普通じゃ出来ない。まさにノブ独自の個性から生まれたボケツッコミ。お笑い教科書でタブーとされるオウム返しを、独特の人間味で笑わせるところが本当に素晴らしい。
土屋の挙げたのが、これまたこの回の出演者である霜降り明星の粗品。土屋は粗品の説明ツッコミを、「革命」「発明」とベタ褒め。霜降りの漫才はフリップ芸の進化版、マンガの吹き出しのようなツッコミの分り易さでシンプルにお客を楽しませる、さりげないけど凄いお笑いスキルだ。
他に名前の挙がったのが、22歳の若さながら抜群に間が上手い、四千頭身の後藤拓実。ツッコミの強弱で、漫才の火力を調整するのが上手いCOWCOWの善し。一つのボケに対し多くのツッコミをかまし、しかも全てが面白いという銀シャリの橋本。
ノリツッコミの達人、ますだおかだの岡田。卓越した話術で、進行・ツッコミ・戻しの3役をこなす爆笑問題・田中。一つの場面で様々なイントネーションを使い分ける東京03の飯塚、といった曲者たち。
まだまだ取り上げて欲しいツッコミ名人も多く、第二弾・第三弾が期待出来そうなこの企画。待ってますんで是非お願いします。