映画「エクス・マキナ」




15年のイギリス映画『エクス・マキナ』は、人里離れた邸宅という閉鎖空間で起こる出来事を、AIアンドロイドを題材にしてスタイリッシュな映像美で描いたSFサスペンス。監督は、脚本家で映画プロデューサーでもあるアレックス・ガーランド。

AI女性アンドロイド「エヴァ」の現代アートのような斬新なデザインと、1万5千個のタングステン電球を使った照明光で作り出した独特の映像センスが評価され、米アカデミー賞の視覚効果賞を受賞している。

アンドロイドと人間との邂逅や支配関係という物語は、1927年のドイツ映画『メトロポリス』(フリッツ・ラング監督)を初めこれまで多くの作品で描かれてきたが、この『エクス・マキナ』は最新のAI技術が生み出す人工知能をサスペンスフルに描きながら、現代の男女の断絶と解放というテーマも扱っている。


大手IT企業ブルーブック(Googleがモデル?)で働くプログラマー、ケイレブ(ドーナル・グリーソン)は、ある日社内抽選に当たり、社長ネイサン(オスカー・アイザック)が隠遁生活を送る邸宅に招待される。

数日後ケイレブは、ヘリコプターでしかたどり着けないような、広大な山岳地帯にあるネイサンの屋敷を訪れた。すると彼を招き入れた社長のネイサンは、この屋敷の実験室でAIロボットを開発中である事をケイレブに話し、彼にアンドロイド「エヴァ」(アリシア・ヴィキャンデル)のチューリングテスト(AI知能評価)を依頼する。

ケイレブはネイサンの言動に疑いを抱きつつも、妖しげで美しい、未完成のスケルトン・アンドロイド「エヴァ」に惹かれていく。またここには「エヴァ」の他にメイド・ロボットの「キョウコ」(ソノヤ・ミズノ)がおり、ネイサンの身の回りの世話をしていた。

高い人工知能を備え、人間の感情を読み取る「エヴァ」。独善者で威圧的で、胸の内に何か企みを潜めていそうなネイサン。「エヴァ」とネイサンに翻弄され、混乱しながら葛藤と自問を繰り返すケイレブ。また、そしてひたすら従順な旧型アンドロイド「キョウコ」。自然に囲まれた屋敷の密室空間で、彼らの濃厚なサスペンスが展開され、観客は引き込まれる。

IT社長のネイサンは、マッチョな身体つきと髭ヅラのオス的な容貌。女性を支配、自分の価値観を押しつけようとする、典型的な男性だ。草食系男子っぽいケイレブとは正反対のタイプと言える。そしてネイサンに従順なアンドロイド「キョウコ」は、まさに日本女性のようだ。

「キョウコ」を演じるソノヤ・ミズノは、日系のイギリス人女優。彼女は以前日本で仕事をした時、「日本女性は世界で一番、女性らしくあることを訓練されている」と感じ、自分の中にもその血が流れていることを意識して演じたそうだ。

それに対する「エヴァ」は、男性の支配から脱し自立を果たそうとする女性の象徴。そして彼女は最後にケイレブを利用、「キョウコ」も操って、ネイサンの支配から逃れようとする。その冷徹なまでの行動に、男たちは戦慄せざるを得ない。

将来AIが人間を支配する程の性能を持つかどうか判らないが、「そうなっても電源切ればお仕舞いじゃん」と、自分は考えるクチ。それより美人からの誘いの方が、よっぽど怖いのかもしれない。

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