Nスペ「死闘の果てに 日本vsスコットランド」

スポンサーリンク

今年一番日本を熱狂させた、ラグビーワールドカップの日本代表。その中でも大会ベストゲームとなったのは、日本がプールA最終節で強豪スコットランドと戦った試合。あのエディー・ジョーンズHCが、ワールドカップで最も輝いた試合だと絶賛するゲームである。

29日に放送されたNHKスペシャル『死闘の果てに 日本vsスコットランド』ではこの試合を、選手・スタッフへの取材や最新映像技術で分析、激しい攻防戦が繰広げられた死闘の内容を明らかにしようとする番組だ。

前回のイングランド大会で日本に唯一黒星を付け、ベスト8入りの悲願を打ち砕いたスコットランド。しかし日本がアイルランド戦で見せたハイレベルな戦いを警戒、入念な対策を立てて試合に臨んできた。


アイルランド戦を分析し、キック攻撃に勝機をみつけたスコットランド。立ち上がりからハイパントを使い、日本の守備を崩しにきた。スコットランドの狙いは的中、7分にはフィン・ラッセルがトライ、日本は先制を許してしまう。

しかし慌てず騒がずのブレイブ・ブロッサムズ。直後に反撃を開始して松島がトライ、すぐに同点とした。その後も日本はスコットランドを圧倒、計3トライを挙げて、前半は21-7のリードで折り返す。

この日本の攻撃を組み立てたのは代表のアタックコーチ、トニー・ブラウン。ちょっとヒュー・ジャックマンに似た、元オールブラックスの司令塔だ。そしてブラウンは番組の取材に、前半の攻撃はイメージ通りで完璧な内容だったと明かす。

まず、同点とした最初のトライ。この場面にNHKは100台のカメラを使った最新技術を駆使、自由視点映像で日本の戦術を解説する。松島のトライが生まれた40秒前、密集から出たボールが堀江を経由、外側へ動いた田村にパスが繋がる。

田村がフリーでパスを受けられたのは、内側に動いてDFを引き付けた姫野との連携プレーのたまもの。こうして相手守備の揺さぶりを重ね、数十秒後ふたたび似たような状況が訪れる。密集へ向け動き出す堀江、先程のプレーで外側に展開されてしまったスコットランドはすぐに詰め寄る。

しかしこれは堀江の囮となるプレー。ボールは彼の背中をスルーし、走り込んできたラファエレへ。そこから大外を駆ける福岡に渡りオフロードパス、ついにスコットランドの守備をこじ開け、鮮やかなトライが決まった。目立たないところで働いている選手がいるからこその、日本の高度な連携プレーだ。

そして前半終了間際に奪った3トライ目は、スクラムハーフの流大選手が「目指してきたものが全て凝縮されている」と語るプレー。スコットランドのキックから始まったこの場面、日本がボールをキャッチすると右サイドに密集が生まれた。

この時注目すべきは、離れた場所で別の行動をとるFW3人と、後方で準備する姫野。起点の流がボールを離した瞬間、3人のFWは同時にスタート、相手DFを引き付ける囮の動きだ。そして流れからボールを受けた山田、咄嗟の判断で攻撃参加してきた姫野へ、すると左サイドに4対2の数的優位が生まれた。

次にボールを受け取ったラファエレ、パスを使わず意表を突くキックで前へ。それを予測していたかのように、福岡がタイミングの良い抜けだし、見事なトライとなった。ラファエレは前方にスペースが空いたのを見てキックを選択、福岡も同じイメージを描いていたからこそのプレーだ。

互いの信頼があって生まれる、阿吽の呼吸。これがジェイミー・ジョセフHCの繰り返し説いてきた”同じ絵(same page)”の理想型だろう。ハードな練習と頭を使う訓練を積み重ね、ようやく築き上げた高度なプレースタイルが日本の強みだ。

前半は完璧に見えた日本の攻撃。しかしボールを繋ぐ攻撃が続き体力が消耗、ブラウンコーチは残り時間の戦いに不安を抱く。しかし後半開始直後、福岡が相手のパスをカット、そのままトライに繋げた。これで28-7とリードを拡げた日本。勝利が近づいたかに思えたが、既に危うい場面が訪れていた。

疲労で動きの鈍くなっていた日本の守備、サイドには大きなスペースが空いていしまった。福岡がパスカットしていなければ、逆にトライを奪われていた可能性もあったのだ。

相手守備の綻びを見つけたスコットランドは、日本の中央へアタックを繰り返す。激しい攻撃を受け、対処に追われる日本FW陣。それをフォローするためバックスの選手が中央に引き寄せられ、サイドの守備がさらに手薄となってしまう。

残り30分、スコットランドはFW4人を一気に交代、サイドへ早く繋ぎ、スピードのある選手を外側で走らせる戦術に出る。その凄さましい圧力にリズムを失う日本、たちまち2トライを許し、28-21と詰め寄られてしまう。残り25分に強いスコットランドと、必死で耐える日本。両者の死闘は激しさを増していった。

68分、日本はラインアウトを失敗、相手にボールを奪われてしまう。スコットランドは外側へボールを展開、しかしそれに反応した福岡が捨て身のDF、チームは一体感を取り戻した。出足の早い守備が蘇った日本、途中で退いたリーチ・マイケル主将もライン際で仲間を鼓舞し続ける。

死力を尽くした戦いは、ついに終盤を迎えた。日本の選手は厳しい状況に耐えながら、それでも試合を楽しんでいた。それは最後まで力を振り絞ったスコットランドの選手も同じ。ラッセル選手は「もはや勝ち負けを越えていた。こんなにラグビーが楽しいと感じたことはない」と語り、ホッグ選手は「人々の記憶に残るこの試合のために、自分はラグビーを続けてきたのだ」と答えた。

残り1分半、ラックからボールを奪った日本。スタンドからカウントダウンの声が上がり、やがてノーサイド、チームへの信頼を貫ぬいたブレイブ・ブロッサムが勝利を手にした。

準々決勝では、優勝した南アフリカの前に敗退してしまった日本。しかし前回は相手が油断しての金星だったが、今回は超本気にさせての敗戦。日本ラグビーは、確実に前へ進んでいる。

スポンサーリンク
スポンサーリンク




スポンサーリンク




シェアする

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク