ヒッチコック監督「サイコ」

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サイコホラーの原点

アルフレッド・ヒッチコック監督が60年に制作した『サイコ』は、数々の恐怖映画に影響を与えたサイコホラーの原点。原作は、母親の死体を家の中に隠していた男の実話をヒントに書かれた、ロバート・ブロックのホラー小説。

ショッキングなシャワーシーンと、「カルフォリニア・ゴシック」と呼ばれる、不気味さを漂わせた屋敷のシルエットで有名。ヒッチコック作品最大のヒットを記録した。

猟奇的な青年・ノーマン・ベイツを演じたアンソニー・パーキンスが強烈な印象を残した。またタイトルデザインを、グラフィックデザインの第一人者、ソール・バスが手がけている。

いつも原作を大幅に改編して映画をつくるヒッチコックだが、この作品は珍しくブロックの小説を忠実になぞって撮影している。ヒッチコックがこの原作に惹かれたのはただ一カ所、シャワーを浴びている女性が突然襲われ、刺殺されるという場面の鮮烈さだ。

映像化したらいかにも面白くなりそうな、斬新で刺激的な描写。人を驚かす事が好きなヒッチコックにとって、まさにうってつけの題材だったのだ。

ヒロイン、突然の退場

物語は不動産会社のOLマリオン(ジャネット・リー)が昼休みに会社を抜け出し、恋人サム(ジョン・ギャヴィン)と情事にふけるシーンで始まる。経済的な理由で結婚に踏み切れずにいた二人だが、マリオンは職場に戻ると貸金庫へ預けるはずの4万ドルを横領、そのまま逃げ去ろうとする。こうして映画は、クライムサスペンスの様相を帯びて始まる。

サムの住む町へ向かうため、車を走らせるマリオン。その道すがら警察の尋問を受けたり、車を買い換えようとした中古車ディーラーで足止めを食いそうになったりと、ヒッチコックらしいサスペンスを張り巡らせながら、ヒロイン・マリオンの孤独と焦操感を浮かび上がらせている。

こうした巧みな演出で、観客はマリオンに次第に感情移入していくことになる。実際はお金を横領しているにも関わらず、彼女がどう逃げ切るかに観客の関心が向いてしまう。

それだけに、主役のはずのマリオンが途中で殺されてしまうという展開は、観客に大きなショックを与えることになる。あのシャワーでの惨殺シーンは、二重の意味で衝撃的なのだ。

ショッキングなシャワーシーン

シャワーの水で濡れるタイル床に倒れ込むマリオンと、排水溝に吸い込まれていく血の流れ。ヒッチコックはこのシーンがどぎつくなり過ぎないように、あえてモノクロで映画を撮ったと言われている。

ヒッチコックはこの約45秒のシーンに7日間の撮影日数を掛け、カメラポジションも70回変えたという、並々ならない力の入れようだった。

実際に包丁がマリオンの身体に突き刺さっているカットはないが、特筆すべきモンタージュ技法で恐怖に満ちた衝撃のシーンとなっている。またバーナード・ハーマンの音楽も、恐怖を盛り上げるのに素晴らしい効果を発揮するのに貢献している。

行方不明となったマリオンを捜す、妹ライラ(ヴェラ・マイルズ)と恋人のサム。最後は、犯人と思われる地下室いたベイツの母親を見つけるが、そこには椅子に座った状態のミイラが。

実は異常人格者のベイツが死んだ母親になりすまし殺人を犯していたという、当時の観客にはショッキングなオチで終わる。見事に観客を騙し、してやったりとほくそ笑むヒッチコックの姿が目に浮かぶようだ。

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