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映画「L.A.コンフィデンシャル」

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ハードボイルドの警察クライムサスペンス

97年の映画『L.A.コンフィデンシャル』は、ジェイムズ・エルロイによる『L.A.四部作』第三作目の同名小説を原作にした、ハードボイルドの警察クライムサスペンス。監督を務めたのは、『8 Mile』のカーティス・ハンソン。

主要キャストは、ラッセル・クロウ、ガイ・ピアース、ケヴィン・スペイシー、キム・ベイシンガー。ニュージーランド出身のラッセル・クロウと、オーストラリア出身のガイ・ピアースはこの作品が出世作となった。

舞台は50年代のロサンゼルス市警。この時代のロサンゼルスは繁栄を享受していた一方、麻薬や売春、そして殺人や恐喝がはびこる犯罪都市だった。そんな時、空席となったボスの座を狙う、マフィア同士の血生臭い抗争が勃発する。

こうした世相を背景に、腐敗した警察内部の人間模様とマフィアの抗争に絡んで起きた殺人事件を追うミステリーが巧みに結びつき、骨太な男のドラマが展開していく。

登場人物のアンサンブル

原作はボリュームがあり登場人物も多くて複雑だが、手際よくまとめた脚本とテンポのある語り口で歯切れがいい。複雑な割に説明不足で飲み込めない部分も多いが、見事な人間模様のドラマと、50年代を味う雰囲気つくりが上手。だからアバウトにストーリーを追っても、充分に面白い。

物語の中心となるのは、タフだが荒っぽい性格ですぐに手を出てしまう暴力刑事、バド・ホワイト(ラッセル・クロウ)。正義感が強く、警察学校を首席で卒業したエリート刑事、エド・エクスリー(ガイ・ピアース)。表と裏の顔を持つ悪徳刑事、ジャック・ヴィンセンス(ケヴィン・スペイシー)の3人。

そして作品に華を添えるのが、マフィアと繋がりを持つ娼婦のリン・ブラッケン。リンを演じるキム・ベイシンガーは、当時の人気女優に似せたいでたちが鮮やか。それは彼女が登場した瞬間に、観客が思わず息を呑んでしまうくらい、美しくて魅惑的だ。

また定型に陥らない、彫りの深い人物造形も素晴らしい。性格もポリシーも違う3人の刑事の関係性が上手くストーリーに絡み、少しづつ真相に近づくストーリーテーリングも巧みだ。さらに個性的な3人の刑事によるアンサンブルの素晴らしさは、この作品最大の見所だろう。

ラッセル・クロウとガイ・ピアースは、『L.A.コンフィデンシャル』がハリウッド初出演で、当時はまだ無名。そんな彼らを思い切って起用した、カーティス・ハンソン監督のセンスが光るキャスティングと言える。

『タイタニック』に奪われた作品賞

『L.A.コンフィデンシャル』は公開されると、高い評価を受け各賞を受賞。第70回アカデミー賞でも9部門にノミネートされ、作品賞の最有力候補と目される。だが結果は、助演女優賞(キム・ベイシンガー)と脚色賞の2部門を受賞したのみに終わってしまう。

不幸だったのは、『タイタニック』が97年の末に公開されたこと。『タイタニック』は公開されるとたちまち歴史的ヒットを記録し、賞レースも席巻した。アカデミー賞では作品賞・監督賞など、歴代タイとなる11部門で受賞を果たしている。

勢いの差が出てしまったとは言え、ストーリー的にはメロドラマに過ぎない『タイタニック』に作品賞を奪われてしまったのは非常に残念。それでも『L.A.コンフィデンシャル』が、90年代を代表するクライムサスペンスの傑作であるのは間違いない。

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