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「サッカーの園~究極のワンプレー~」ラストパス

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究極のラストパス

去年の4月にBS1で放送された『サッカーS-1グランプリ ~究極のワンプレー~』は、“一流が生んだ究極のワンプレー”No,1を選定しながら、その極意と神髄に迫まろうとする番組。その番組が『サッカーの園 ~究極のワンプレー~』と、前園真聖の名前を冠したタイトルになって戻ってきた。

忘れた頃にやって来たこの番組、前回のテーマ「ワンタッチゴール」に続いて今回取り上げられたのは、「ラストパス」。前園は“シュートに結びつく最後のパス”を、「ラストパス」と定義。時代やトレンド、選手の個性や哲学が凝縮されたのが、このプレーだと語る。

MCを務めるのは、サッカー経験者でもあるアンタッチャブルの柴田。そして前園に加え名波浩やサッカーライターの清水英斗が、6選手による「究極のラストパス」をエントリー、その極意を解説してくれた。

イニエスタのラストパス

ドリブラーで知られた前園真聖。彼としては珍しいラストパスのシーンが、前座扱いで紹介される。95年のJリーグ、横浜フリューゲルス対セレッソ大阪戦。ジーニョから貰ったパスを、前園がアウトサイド・トラップで溜めてからのリターンパス。お手本のようなワンツーで得点が決まった場面だ。

しかしこのプレーを見た名波の感想は「そんなに難しくない。レベル5のうち2だな」と手厳しい評価。まあこのあと紹介されるプレーが凄いので、流石の前園も比べられてしまうと気の毒だ。

最初エントリーされたのが、神戸のイニエスタ選手。先日の『富士ゼロックス・スーパーカップ』でも鋭いパスで勝利に貢献、健在ぶりを見せつけていた。彼の最大の特徴は「受け手に優しいラストパス」。

試合中イニエスタは周囲を見回し、常に状況を確認。それによってゴールへの道筋を、素早く的確に見つける事が出来るのだ。その優しいパスが出せるのも、正確なトラップで出し易いところにボールを置く技術があるから。

そして名波が「究極のラストパス」に選んだのは、18年J1リーグ対清水戦でのプレー。中盤でボールを受けたイニエスタは、トラップから相手をかわし前線へ放物線を描くパス。そのボールがワンバウンドすると、吸い寄せられるように前を走る藤田選手の足元へ。藤田が左脚を振り抜くだけで、神戸のゴールが生まれた。

撒水で滑り易くなった芝のバウンド具合を計算。イニエスタが絶妙な高さで調整した、ワールドクラスのラストパスだ。

中村憲剛のラストパス

次のエントリーは、日本を代表するパスの名手・川崎フロンターレ中村憲剛選手のプレー。彼のパスは芸術的とも言える軌道をピッチに描き、幾度も味方のゴールを演出してきた。日本代表GKの川島永嗣は、憲剛のパサーとしての想像力の高さを称える。

ゴール前に相手DFが並び、一見パスコースさえ見当たらない場面。しかし奥のスペースが見えていた憲剛は、一旦DFラインをずらしてから浮き球のパス、そこから得点が決まった。視界を相手に塞がれた状況で奥のスペースにパスが出せるのは、憲剛の想像力がつくった俯瞰視点「上から目線」があるからだ。

小さい頃から多くの試合を見てきたからこそ備わった、「上から目線」の能力。もはや彼の頭の中では、俯瞰のシーンが勝手に脳内変換されるという現象が起こっているらしい。相手の背後を突くという思考が、中村憲剛を際立たせる特徴だ。

清水さんが選んだのは、17年J1リーグ対浦和戦でのプレー。ゴールに背を向けながら味方の動きとスペースを確認、振り向きざまのラストパスでゴールが生まれた。憲剛の俯瞰視点と瞬間的な判断が優れているからこそ、素早くパスコースへボールを出せるのだ。

名波浩と小野伸二のラストパス

3番目に前園が紹介したのは、番組ゲストでもある元日本代表の10番、名波浩。「美しさ」に拘り、代表やクラブチームで多彩なパスを送り続けてきた伝説のレフティーだ。その名波が、14年間のプロ生活で自ら最高のラストパスと語るのが、95年Jリーグ・1stステージ対清水戦でのプレー。

バウンドするボールに上手く合わせ、左アウトサイドで繰り出したワンタッチのパス。最初ゴン中山を見ていた名波だが、一瞬の判断でスキラッチへのパスを選択。本人曰く「一流のパスと超一流のシュート」でゴールが決まった、名波が瞬時にステップを踏み換えて出した、美しいラストパスだ。

4番目は、現在J2リーグのFC琉球でプレーする小野伸二選手。Wカップには3回出場、日本人選手最年少出場記録を持つ天才肌のプレイヤーだ。小野伸二の代名詞となるのが「ベルベット」と呼ばれる柔らかなパス。しかし小野がそれ以上に大事にしているのは、「誰もが驚くようなパス」を出すこと。

中でも拘りを見せるのが、相手の意表を突くアウトサイドパス。身体の向きと違う方に出せるこのパスは、決定的な場面をつくり出すのにも効果的だ。子供の頃からリフティングで鍛え、ボールを自在に操れる小野ならではの巧みなパスである。

名波が「究極のラストパス」に選んだのは、2000年アジアカップ・レバノン大会での対カタール戦。名波のアウトサイドパスを受けた小野は、内側に切れ込んでからのアウトサイドパス。相手の意表を突くこのプレーで、西澤選手のゴールを呼び込んだ。卓越したボール扱いと、人と違う発想。これが小野伸二の真骨頂だ。

大久保嘉人の極意

このあと5番目には、今季J2の東京ヴェルディでプレーすることになった大久保嘉人選手が登場。パスを受ける側の大久保、駆け引きの動きと早いボールの要求で、ラストパスを引き出す極意を語る。

最後に紹介されたのは、今季鹿島アントラーズに移籍してきた水戸勝也選手。正確なクロスを武器とする、今売り出し中のサイドバックだ。しかし持ち味の正確なパスを警戒されるようになった水戸選手。企業秘密と言いながら、それを逆手に取るような技を明かしてくれた。

そして「究極のラストパス」に選ばれたのは、名波の左脚アウトサイドパス。エントリーされたラストパスはどれも素晴らしく、ひとつに絞るのは非常に困難。番組の忖度込みながら、妥当な所に落ち着いたというべきか。

トッププレイヤーの凄技を教えてくれる、期待通りの内容。ただ海外リーグからのエントリーがなかったのは、少し物足りなかった気がする。それと中村俊輔選手のラストパスも見たかったけど、中村憲剛選手とタイプが被るから今回は見送りということかな。

まあ俊輔は「フリーキック」のテーマだったら絶対外せないから、次回以降の企画を待ちたいところだ。てなところで、次回のテーマは「スーパーセーブ」。

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