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アニメ映画「スパーダーマン:スパイダーバース」

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CGアニメの新しい可能性

18年公開の『スパーダーマン:スパイダーバース』は、コロンビア映画とソニー・ピクチャーズ・エンターテインメントによる、スパイダーマンシリーズ初のCGアニメ。

ディズニー / ピクサー作品とはまた違ったポップな感覚と、ひとつひとつのシーンがアート絵みたいな、斬新な手法で創られた映像が鮮烈。CGアニメの新しい可能性を示したと言える、画期的な作品だ。19年のアカデミー賞では、長編アニメ映画賞に輝いている。

主人公のスパイダーマンになるのは、アフリカ系の高校生マイルス・モラレス。また彼の他にも、別次元の平行世界(マルチユニバース)からそれぞれスパイダーマンがやって来て、一緒に悪と戦うという奇想天外なストーリー。

アニメの限界を超えたと思わせるような躍動感と、アメコミ世界をそのまま持ってきたような華麗なタッチの連続に目を奪われる作品。その中にも、青年の成長や家族の愛情、仲間との絆といったアメリカ人好みのメッセージが盛り込まれていて、しっかりした物語になっている。

異質な絵柄の融合

青年期の悩みを抱えるマイルス・モラレスは、ある日蜘蛛に噛まれて特殊能力を得る。しかしその特殊能力を発揮することもなく、犯罪組織の親玉キングピンと戦うピーター・パーカ(スパイダーマン)を見殺しにしてしまう。

自責にさいなまれるモラレス。そんな時、突然異次元からやって来た中年男ピーター・B・パーカー(平行世界のスパイダーマン)と遭遇、ヒーローとしての訓練を請うことになる。

その他異次元のスパイダーマンとして、女学生のグウェン・ステイシー、退廃世界の暗黒ヒーローであるノワール、日系制服少女のペニー・パーカー、ファニーでキッチュな豚キャラ、ピーター・ポーカーといった面々が登場する。

この中でも、日本の萌えアニメ風ペニー・パーカーと、カトゥーンアニメ風のピーター・ポーカーは絵柄が異質。それを無理矢理にでも作品に馴染ませようとした、チャレンジ精神が頼もしい。もちろん違和感を覚える人も居るだろうが、決して作品全体のバランスを崩していないのは見事だ。

コミック世界のダイナミズムと躍動感の再現

『スパーダーマン:スパイダーバース』を製作したアニメーターたちは、これまでにない新しいモノを作り出そうと意欲的にこの作品に挑んだ。そして2Dと3Dを融合させる手法で、基になったコミックを彷彿させる画を創り出す。

CGレタリングで作った映像に、最後は手書きで仕上げる方法でコミックのような図柄を再現。そして2コマ打ちという方法で、1秒間24フレームをあえて12フレームで作画し、コミック世界のダイナミズムと躍動感を表現した。

まさに革新的で、刺激に満ちた映画体験を味あわせてくれるアニメ映画。その発想力とエネルギー、そして楽しさ溢れるアイデアと果敢な創作意欲が素晴らしいし、作品の持つメッセージ性も力強い。それは幼稚で単調、メルヘンなだけの日本アニメには、到底及ぶ事の出来ない領域だと言えるだろう。

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