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ジョージ・ロイ・ヒル「スティング」

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懐かしきアメリカのホラ話

73年公開の『スティング』は、懐かしきアメリカのホラ話を、騙し(スティング)のエンターテインメントとして楽しむ娯楽快作。69年『明日に向かって撃て』のジョージ・ロイ・ヒル監督が、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードのコンビを再集結させてつくった作品だ。

アメリカン・ニューシネマの傑作と呼ばれた『明日に向かって撃て』とはまたひと味違った、粋で軽妙な娯楽作品。第46回アカデミー賞では、作品・監督・脚本・音楽・編集・美術・衣装デザインと、7部門でオスカーを獲得している。

映画のテーマ曲に使われているのは、1900年代初めにつくられたラグタイム・ピアノ音楽の『ジ・エンターテイナー』。この音楽を名作曲家マーヴィン・ハムリッシュが映画用にアレンジ、『スティング』のノスタルジックで軽快な雰囲気を醸し出し、スタンダードナンバーとなった。

詐欺師を演じるポール・ニューマンとロバート・レッドフォードに相対するのが、ギャング役のロバート・ショー。都会を牛耳るマフィアのボスとして、威圧感たっぷりの存在を示す。この3人を始めとした演技人による掛け合いの妙が、この映画の見所でもある。

騙しの算段

本編は6章に分けられ、その各パートに懐古調タイトルを付けられるという、ムードたっぷりな語り口で進む。時代と舞台の設定は、1936年のシカゴ。この頃のアメリカは、29年の株価暴落による大不況から抜けつつあった時期。だが同時に20年代に施行された禁酒法が、却ってギャングを繁栄させていた時代でもあった。

ニューヨークを仕切るギャングのボス、ロネガン(ショー)の金をくすねたばかりに、仲間を殺されてしまった詐欺のフッカー(レッドフォード)。フッカーは悪徳警官にも目を付けられ街を逃走、ロネガンへの復讐を企てるべく、シカゴの伝説的詐欺師ゴンドルフ(ニューマン)に助けを求める。

FBIに追われ、身を隠していたゴンドルフ。始めは乗り気でなかったが、因縁持つロネガンが相手だと知り翻意、仲間を集めて計画を進める。そしてシカゴにやってきたロネガンに銀行家を名乗って近づき、ポーカーと競馬に目のない彼を騙そうと丁々発止の算段を巡らす。

ロネガンがいる列車に乗り込み、ポーカー賭博の対決を挑むゴンドルフ。ゴンドルフはカードテクニックを駆使、イカサマでまんまと大金をせしめると、そこからロネガンを次の罠に誘い込む。この列車内でゴンドルフが鮮やかな手並み見せるシーンは、『スティング』の中でも名場面に数えられる。(但し、実際にカードを操る手のカットは吹き替)

娯楽に徹したエンタメ作品

こうしてロネガンを、競馬のノミ賭博に誘い込むことに成功したゴンドルフとフッカー。だが彼らの動きは、FBIに気付かれ始めていた。そのあと映画のクライマックスとなる、時差を利用した短波放送によるイカサマの場面。

競馬賭博のノミ屋でゴンドルフとフッカーは、やってきたロネガンと最後の勝負を迎える。そこにFBIと悪徳警官も絡んで、最後までハラハラの展開、物語は予想の出来ない結末へ。そしてラストは、どんでん返しからの大団円。ゴンドルフたちの仕掛けに巻き込まれ、観客はアッと驚くと同時に、騙しの快感と醍醐味を堪能することになる。

まさにロイ・ヒル監督の快調な演出と伏線を巡らせた脚本、そして娯楽に徹したエンタメ精神が、見る者を楽しませる作品だ。

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