スティーブ・マックイーンと「大脱走」

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60~70年代のアクションスター スティーブ・マックイーン

1960年代から70年代にかけて活躍したハリウッドスター、スティーブ・マックイーンは1930年の3月24日生まれ。今年で生誕90年となるわけだが、80年に50歳の若さで病死しているので没後40年でもある。

テレビシリーズの西部劇『拳銃無宿』(58~61年)で主役に選ばれ、その名を知られるようになったマックイーン。同じくテレビ西部劇の『ローハイド』(59~65年)でブレイクしたクリント・イーストウッドと、実は同い年生まれ。

その後、ハリウッドのアクション俳優として活躍するようになった経緯も含め、よく似たキャリアを持つ二人。イーストウッドが現役の監督・俳優として健在ぶりを誇示しているのを見ると、少し感慨深いものがある。

そのマックイーンが映画の大スターと認められるようになったのは、63年の『大脱走』から。『大脱走』は実話を元にした、ナチスの捕虜収容所から脱走を試みる男たちの群像アクション大作。

監督のジョン・スタージェスは『荒野の七人』に続いて、マックイーンをメインキャストで起用。マックイーンは不屈の闘志を持つ米軍人捕虜ヒルツを演じ、そのタフガイぶりで鮮やかな印象を残した。

反骨の男

親の愛情に恵まれず育った、マックイーン。荒れた少年時代を過ごし、強制的に入れられた矯正施設からは、4回逃走を図るという経験を持っていた。反骨心で脱走を繰り返すヒルツの役は、まさにマックイーンの姿に重なるものだった。

マックイーン演じるヒルツは、収容所で独房王と呼ばれたアウトロー。そしてその他にも、脱走計画を指揮するビックXことハントレット(リチャード・アッテンボロー)、調達屋のヘンドリー(ジェームズ・ガーナ)、トンネル王ダニー(チャールズ・ブロンソン)、製造屋セジウィック(ジェームズ・コバーン)、偽造屋コリン(ドナルド・プレザンス)、土処理屋アシュレー(デヴィッド・マッカラム)といった連合軍捕虜たちが登場。

スタージェス監督は個性ある彼らを人間味豊かに描き出し、楽しくも厚みのある群像ドラマに仕上げた。前半は監視の目を盗みながら、どうやって脱出トンネルを完成させるかというゲーム感覚の面白さ。さらに後半は、脱出時のスリルに逃走劇のサスペンス的展開で目が離せない。

そして最後には、マックイーンのバイクアクションも堪能できるという、てんこ盛りの味付け。また有名になった『大脱走のマーチ』もストーリーを軽快に運び、2時間52分という尺の長さを感じさせない。何度見ても飽きない娯楽大作だ。

映画史に残るバイクシーン

草原を疾走するバイクの逃走場面は、マックイーンたっての希望で付け加えられたシーン。彼自身がバイクアクションを演じているが、結果的に映画史に残る名シーンとなった。(但し鉄条網をジャンプするシーンは、スタントマン)

だが脱走に成功した76人のうち、50人は逃走中ナチスに射殺され、助かった者も収容所に連れ戻されてしまう。爽快な逃走劇だけではない、戦争の現実と犠牲というメッセージにも重みがある。最後に安全地域まで逃げおおせたのは、ダニー役のブロンソンとセジウィックのコバーン。『荒野の七人』では村を守るガンマン役として、最後まで生き残れなかった二人だ。

ドイツ兵に捕まり収容所へ連れ戻され、何度目かとなる独房にぶち込まれるヒルツ。だが怯まない男は、独房の壁を相手にキャッチボールを開始。寡黙で反抗心溢れるマックイーンの格好良さが、観客の心を痺れさせる。

闘争心を貫いた人生

このあとマックイーンは、『シンシナティキッド』『華麗なる賭け』『ブリット』などの話題作やヒット作に出演、ハリウッドスターとして不動の地位を築いた。そして66年のロバート・ワイズ監督『砲艦サンパブロ』では、アカデミー主演男優賞にノミネート。アクションだけではなく、演技者としての境地を開く。

また71年の『栄光のル・マン』は自費を投じて製作、自らハンドルを握り危険な撮影に臨むなど、自動車レースにのめり込んだ。少年期の孤独な思いから、命を賭けるスピードレースで自分の生を確かめようとしたのかもしれない。

晩年は末期癌に苦しんだマックイーン。延命を求め、メキシコに赴いてまで、アメリカでは認められなかった非正規治療を受けている。癌に対しても諦めず戦い、最後まで闘争心を貫いた人生だった。

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