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ワールドカップの歴史 第19回南アフリカ大会-後編

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FIFAワールドカップ、第19回南アフリカ大会-後編(2010年)

「8番目の世界王者」

前編「レ・ブルーの崩壊」より続く

スアレスの「神の手」

Wカップ・アフリカ大会決勝Tの1回戦は、ウルグアイと韓国の試合で始まった。開始8分、フォルランとの連携からスアレスが先制点、だが韓国も必死の反撃で68分に追いつく。流れは韓国に傾きかけるが、80分にフォルランのCKを繋ぎ、スアレスが技ありのシュートを叩き込んだ。こうしてウルグアイが2-1と勝利、ベスト8進出となった。

ウルグアイ準々決勝の相手は、1回戦で延長戦の末アメリカを2-1と下したガーナ。前半終了直前、ギャンの落としを受けたムンタリのミドルシュートでガーナが先制。ウルグアイも後半の55分にFKのチャンスを得ると、フォルランが鮮やかに決めて同点とした。

その後両者譲らず一進一退の攻防、試合は1-1のまま延長に突入した。それでも互いに得点は生まれず、延長も後半のロスタイムに入った。その終了直前、ガーナにFKのチャンスが訪れた。ゴール前へクロスが送られると、混戦からアッピアがシュート。ゴールライン上にいたスアレスが一旦クリアするが、アディイアーがこぼれ球を拾って頭で叩きつける。

するとスアレスが反射的に腕を伸ばしてゴールを阻止、あからさまなハンドで一発退場となりガーナにはPKが与えられた。キッカーはギャン。だがそのシュートはバーに弾かれ、ガーナは勝ち星を逃してしまった。

このPKを不安げにモニターで眺めていたスアレスは、さっきまでの泣き顔から歓喜へと一転、両拳を握りしめて感情を露わにした。そのあとPK戦で2人を止めたウルグアイが、ピンチから一転40年ぶりとなる準決勝進出を決めた。

試合後スアレスは、「ハンドは神の手」「今大会No.1のセービング」と放言、一部のメディアやファンから反感を買うことになった。

進撃のオランダ

オランダは怪我で出遅れていたロッベンが、決勝T1回戦で先発に復帰。そのロッベンとスナイデルのゴールでスロバキアを2-1と破り、ベスト8に進んだ。そして準々決勝は、1回戦で同じ南米勢のチリを3-0と下したブラジルとの対戦になった。

開始10分、ロビーニョのゴールでブラジルが先制。その後もマイコンの攻撃参加やカカーの飛び出しなど多彩な攻めを見せるブラジルに、オランダは苦戦を強いられてしまう。それでも後半に入ってからオランダは反撃を開始、53分にスナイデルが右から長いクロスを入れる。すると、味方と交錯したGKセザルがボールを取り損ね、オランダに幸運な得点が生まれた。

さらに68分、ロッベンのCKをカイトが頭で後方にすらし、それをスナイデルがヘッディングでゴールに流し込んで逆転した。73分、フェリペ・メロが倒れたロッベンの足を踏みつけると、それを見逃さなかった西村主審がレッドカード、最後は冷静さを失ったブラジルの攻撃が空回りした。こうして2-1と逆転勝利を収めたオランダは、3大会ぶりのベスト4入りを果たす。

オランダ 32年ぶりのファイナルへ

準決勝はオランダ対ウルグアイの試合。ウルグアイは出場停止となったスアレスの代わりに、カバーニが中盤から上がってフォルランとコンビを組んだ。何人かの中心選手を欠くウルグアイにオランダは立ち上がりから攻勢、18分にファン ブロンクホルストの豪快なロングシュートで先制した。

だがウルグアイは卓越した個人技で反撃、41分にパスを受けたフォルランがオランダDFを引きつけ切り返し、強烈なシュートで同点に追いついた。後半に入るとさらに勢いを強めるウルグアイ、67分にFKを得て絶好の位置からフォルランがシュート、逆転のゴールかと思えたがGKの好セーブに阻まれた。

苦しい時間帯を守備陣の奮闘で防いだオランダは、ウルグアイの足が止まりだした70分に、ドリブルで切れ込んだスナイデルがシュート。DFに当たってオランダの勝ち越し点となった。さらにその3分後、カイトのクロスをロッベンが頭で決め、リードを2点差とした。

84分、走れなくなったフォルランが交代。苦しくなったウルグアイだが、ロスタイムに意表を突くトリックプレーでM・ペレイラが得点、1点差に迫った。直後にも絶好のチャンスを迎えるがシュートに至らず、試合終了の笛が吹かれた。こうして3-2と辛勝したオランダは、32年ぶり3回目のファイナル進出となった。

波紋を呼んだ誤審

もうひとつの山、決勝T1回戦で注目のカードとなったのは、ドイツとイングランドの強豪対決だった。試合開始の20分、GKノイアーのロングキック1本で抜け出したクローゼが、倒れ込みながら先制点を奪取。このあと立て続けに好機を作り出したドイツは、32分にミュラーとクローゼの連携からポドルスキーが追加点を決めた。

2点を失い闘志に火がついたイングランドはすぐさま反撃、右のショートコーナーからジェラードがクロスを上げ、アップソンのヘッドで1点を返す。その1分後、PA前の混戦からランパードがループシュート、ボールはクロスバーを叩いてゴール内の地面に落下した。

外へ転がるボールを掴んだノイアーはすぐさま味方へフィード、ランパードが両手を挙げてゴールをアピールするが、主審の笛が吹かれることなく試合は続行される。しかし再生VTRに映し出されたのは明らかなゴールシーン、この誤審は波紋を呼び、最新テクノロジー判定導入のきっかけとなった。

後半開始直後にはランパードが35mの位置からFK、ボールは惜しくもクロスバーに弾かれ同点とはならなかった。それでも追いつくべく猛攻をかけるイングランドだが、67分、70分とドイツが鮮やかなロングカウンター。ミュラーが立て続けに得点を決めて、イングランドを4-1と突き放した。

こうしてドイツがベスト8へ進むが、イングランドは不調で無得点に終わったルーニーや、攻守のリーダー、ジェラードとテリーの確執など、いまひとつ精彩を欠く内容で大会を去っていた。

監督マラドーナの限界

アルゼンチンは1回戦でメキシコと対戦。内容でも圧倒的な力の違いを見せ、テベスの2ゴールなどで中南米王者を3-1と撃破した。そして準々決勝、はともに高い攻撃力で勝ち上がってきたアルゼンチンとドイツの戦いとなった。

開始5分、シュバインシュタイガーのFKをミュラーが頭で押し込み、さっそくドイツがリードした。アルゼンチンはメッシにボールを集め反撃を開始、ドイツも全力で対応する。そしてゲームは厳しい守備と素早い攻撃が激しく入れ替わる、レベルが高いカウンターの応酬となった。

後半も迫力の攻防が繰り返された68分、くさびに入ったミュラーが倒れながらもスルーパス、フリーで抜け出したポドルスキーが中央へ折り返すと、クローゼが追加点を流し込んだ。さらに74分、ショートコーナーの流れからシュバインシュタイガーがゴール横に切り込み、マイナスのパスでフリードリヒのゴールをアシスト、勝負を決定づけた。

終了直前にもクローゼがゴール、4-0という思わぬ大差でドイツが3大会連続のベスト4入りを決めた。アルゼンチンは注目されたメッシが大会無得点、話題を呼んだマラドーナ監督の手腕も強豪相手には通じないことがはっきりしてしまった。

無敵艦隊の本領発揮

1回戦で注目されたスペインとポルトガルのイベリア隣国対決は、意外にもWカップでは初めての対戦だった。試合は序盤からスペインのペースとなり、トーレスとビジャが立て続けに惜しいシュートを放つ。その後もシャビのゲームメイクで主導権を握ったスペインは、S・ラモスやイニエスタのラストパスでポルトガルゴールを脅かし続けた。

そして63分、シャビとイニエスタが中央を切り崩すと、ゴール前に走り込んだビジャがGKの弾いたボールを押し込み、スペインが先制した。ポルトガルはC・ロナウドのFKで見せ場をつくるが、単調な攻撃に厚みがなく、なすすべもなく試合は終了した。

こうしてポルトガルを1-0で下し、準々決勝へ進んだスペインは、日本を延長PK戦で退けたパラグアイと試合を行った。パラグアイは組織的な守備と果敢なプレスでスペインの攻撃を封じ、双方これといった得点機がないまま試合が進んだ。

しかし後半に入った59分、ピケのファールでパラグアイがPKのチャンス。しかしこれはGKカシージャスがナイスセーブで阻み、均衡は破られなかった。するとその30秒後、今度はビジャが倒されスペインがPKを得た。一旦はシャビ・アロンソが確実に決めるが、先に背後の選手が動いてやり直し、2本目はビジャールによって弾き出されてしまった。

ともに絶好のチャンスを逃し、試合は膠着状態に入るかと思えた。だが83分、シャビのヒールパスから、イニエスタがドリブルで中央を突破する。そしてボールを受けたペドロがフリーでシュート、ボールはポストを叩くが、こぼれ球をビジャが豪快に蹴り込んだ。接戦となった試合は1-0で終了、スペインは念願のWカップベスト4入りを果たした。

スペイン 初の決勝進出

準決勝スペイン対ドイツの試合は、ユーロ08決勝戦と同じ顔合わせとなった。得意のパスワークで中盤を支配するスペインだが、決定力のなさからゴールを外してしまう。エースのトーレスが怪我で不調に陥ったのが痛く、この試合も先発を外れていた。

一方のドイツも得点を重ねていたミュラーを出場停止で欠き、スペインの華麗なボール回しの前に攻めあぐねてしまう。前半ロスタイムにエジルがPA内で倒されるが、笛は吹かれず試合は0-0で折り返した。だが後半に入ると、セルヒオ・ラモスの攻撃参加やペドロのドリブル、ビジャの飛び出しなどでスペインが優勢を強めていった。

そして73分、シャビの左CKに後ろから走り込んできたプジョルが強烈なヘッディングシュート、貴重な1点を決めた。その後のドイツの猛攻を跳ね返し、スペインは1-0と逃げ切った。こうして決勝はともに初優勝を狙う欧州勢、スペインとオランダの対戦となった。

決勝に先立って順位決定戦が行われ、ドイツがウルグアイを3-2と破って2大会連続の3位となった。この試合でゴールを決めたトーマス・ミュラーは、5得点で他の3人ビジャ、フォルラン、スナイデル)と並んだが、アシスト数の差で得点王に輝く。またベスト4進出の立役者となったウルグアイのフォルランも、大会MVPに選ばれた。

初優勝を懸けた戦い

第19回Wカップ・南アフリカ大会の決勝は、7月11日サッカー・シティ・スタジアムに満員の観客を集めて行われた。連戦の疲れからか前半は両チーム守り重視の戦い、それでも展開力に勝るスペインは立ち上がりから惜しいチャンスをつくる。それに対してオランダは、早い寄せとファール覚悟の当たりでスペインの攻撃を封じていった。

ゲームは次第につぶし合いの様相を呈し、10分あまりで5枚のイエローカードが飛び交う激しい内容となった。前半ロスタイムにはロッベンがゴール右に切れ込み鋭いシュートを放つが、カシージャスが好守で防ぎ、後半直後に訪れたスペインのチャンスはまさかのミスで逸してしまう。

後半に入った60分、スペインはペドロに替えてヘスス・ナバスを投入。その直後、選手交代で生じた一瞬のギャップを突き、スナイデルのスルーパスでロッベンが抜け出した。キーパーと1対1になったロッベンは相手の逆を狙うシュート、だがカシージャスが足を伸ばしてギリギリゴールを阻止した。

70分にはスペインのチャンス、ナバスの折り返しからビジャが決定的なシュートを放つが、GKステケレンブルフが鋭い反応で弾き出した。38分、ファン ペルシーの落としにロッベンが反応するも、一瞬早く飛び出したカシージャスがボールを押さえる。

8番目のワールドカップ・チャンピオン

試合は0-0のまま90分が終了、スペインは延長に入る前後にセスクとトーレスを投入し、積極的な攻めに出た。そして延長の95分と99分、イニエスタとセスクの連携で2度の惜しいチャンスが生まれた。さらに延長後半に入った109分、オランダのハイティンガが2枚目の警告で退場、スペインが数的有利となる。

116分、左サイドからトーレスがクロスを上げると、それを拾ったセスクがイニエスタにパス。DFラインを上手く抜け出したイニエスタが右脚を振り抜くと、決勝点となるゴールが生まれた。

こうして14枚のイエローカードとレッドカード1枚が乱れ飛んだ激しい決勝戦は、スペインが4試合連続で1-0の勝利。ワールドカップ8番目の世界王者が新たに誕生した。また初戦を落としWカップで優勝したのは、スペインが初めてとなった。

 

次:第20回ブラジル大会-前編( 2014 )

カテゴリー サッカー史

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