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映画「明日に向かって撃て」

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アメリカン・ニューシネマの代表作

69年公開の『明日に向かって撃て』は、実在した二人組の強盗ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドを題材にしたモダンタッチの西部劇。アメリカン・ニューシネマの台頭を決定づけた作品と言われている。

列車強盗を計画して、まんまと成功させた2人のアウトローが、鉄道会社の追跡劇に追われて南米ボリビアまで逃げのび、最後に現地の警官隊に包囲されて射殺されるまでを、ユーモアを交えてノスタルジックに綴った青春映画でもある。

監督は『スティング』(73年)『ガープの世界』(82年)のジョージ・ロイ・ヒル。ユーモアに富み抜け目のない男ブッチ・キャシディを演じるのはポール・ニューマン。

ブッチの相棒で早撃ちのサンダンス・キッド役には、マーロン・ブランドやスティーブ・マックイーンの名も挙がったが、当時まだ無名だったロバート・レッドフォードが抜擢された。サンダンスの恋人エッタ・プレースにはキャサリン・ロス。

製作にもかかわったニューマンの飄々とした味に、颯爽としたレッドフォードが胸を借りる。ここにロスを加えたキャスティングが抜群で、映画ではこの仲良し3人の息の合った関係が楽しい。

『雨に濡れても』の名シーン

同じ列車を往復2回襲うという、大胆不敵な強盗をやってのけたブッチとサンダンス。このあと2人はサンダンスの恋人エッタの家で骨休めをし、つかの間の平和な日々を過ごす。

バート・バカラック作曲による軽快な主題歌『雨に濡れても』の音楽をバックに、ブッチとエッタが自転車乗り興じるシーンがとても印象的。西部劇という設定にとらわれない、今的かつ詩情にあふれた名場面だ。

二度目の列車強盗のあと、鉄道会社の強力な追跡隊に追われる身となった二人。金・銀採掘の盛んな “夢の国” ボリビアを目指し、スペイン語のできるエッタを口説いて、3人一緒の逃避行となる。

だが実際ボリビアに行ってみると、そこは “夢の国” ではなくてただの貧しい国、3人はアテが外れてしまう。一度は強盗家業から足を洗いながら、まだ懲りようとしない二人に見切りをつけて、エッタはアメリカに帰っていった。

再び強盗家業に戻り、通報されてボリビア軍隊に包囲されてしまった二人。最後、重傷を負いながら「お前の言うことを聞いてやるとロクなことがない」と愚痴るサンダンスに、ダメだと分かりながらオーストラリアに行く夢を語り続けるブッチ。

飛び出した二人のストップ・モーションに、雨あられの銃声がかぶさるという鮮烈なシーンで映画は終わる。

ロイ・ヒル監督の演出

往年の西部劇スタイルをとりながら、現代人がそのまま西部の人間を演じているという感覚が新しい。それでいて、セピアがかった画面も詩的でノスタルジーに満ちている。

ロイ・ヒル監督はユーモアのセンスと情緒、そしてさりげない優しさでアウトローの物語を構成。悲劇的なラストながら楽しい作品に仕上げた。

映画は若い世代の共感を呼び大ヒット。バート・バカラックはアカデミー賞作曲賞を受賞、『雨に濡れても』も主題歌賞に選ばれ、この年のヒット曲となっている。

その他、撮影賞でコンラッド・L・ホール、脚本賞でウィリアム・ゴードンがアカデミー賞を受賞。

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