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「ブルース・リー / 死亡遊戯」

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ブルース・リー最後の主演作?

『燃えよドラゴン』(73年)の大ヒットで世界にカンフーブームを起こしながら、映画公開直前に32歳の若さで亡くなったブルース・リー(李 小龍)。

その5年後の1978年に公開された『ブルース・リー / 死亡遊戯』は、未公開のクライマックスシーンを使い、追加撮影に代役を立てて完成させた「ブルース・リー最後の主演作」と称される作品。

監督には『燃えよドラゴン』のロバート・クローズを起用。同映画に出演していたサモ・ハン・キンポーが武術指導を担当した。リーの代役をユン・ピョウやタン・ロンら複数のスタントマンが演じるほか、他の主演映画からも一部のシーンを流用。主人公ビリー・ロー葬儀の場面には、実際のニュースフィルムが使われた。

公開された映画は日本でヒットを記録したものの、他の国の興行成績は今ひとつだった。

製作のいきさつ

オリジナルのタイトルは『死亡的遊戯』。当初はブルース・リー演じる元世界チャンピオンの格闘家が、マフィアに誘拐された家族を人質に、韓国にある五重塔でデスゲームを強要されるというストーリー。

主人公の格闘家は仲間二人と共に五重塔へ挑み、各階に配置された武術の達人を倒して、一人勝ち残ったリーが最上階に隠されたお宝を手にするという設定だった。

『死亡的遊戯』は『燃えよドラゴン』出演のため撮影を中断。撮影再開前に主演・監督・脚本のリーが亡くなったため、五重塔のクライマックスシーンを撮影しただけの未完成フィルムが残されてしまった。

その5年後に、ゴールデンハーベスト社が未公開フィルムを使った映画『死亡遊戯』を製作。だがクライマックスとなる五重塔の部分は3階から5階までのパートが撮られていただけ。しかも主人公の仲間を演じた二人の俳優が撮影参加不可(一人はすでに死亡)となったため、彼らの出演場面を削らざるを得ず、39分あったシーンのうち完成した映画に使われたのはわずか11分であった。

ストーリーは大幅に直され、国際的シンジケートに脅されたカンフースターが、殺されたふりをして身を隠し、その組織に闘いを挑んでゆくという物語に変更。五重塔もシンジケートの隠れ家である中国料理店という設定に変わった。

クォリティーの低い代役部分

大幅なストーリー変更は他の映画からブルース・リーのシーンを流用するための苦肉の策だったが、決して筋立て自体は悪くなかった。しかしCGの無い時代、ブルース・リーとはあまり似ていない、代役のクォリティーの低さに観客はがっかりさせられてしまう。

最初こそサングラスで誤魔化しているが、後半格闘シーンが増えるにつれその違いは一目瞭然。ただ髪型を似せているだけの体たらくで、例の黄色いジャンプスーツもダボダボというダサさ。肝心のアクションにも迫力が感じられない。

そしてリーの顔が鏡に写る場面は、なんと彼の顔写真を切り抜いて鏡に貼って撮影されたという。一目して違和感ありありの、トホホとなるようなシーンだった。

ブルース・リーの凄さ

それだけに、クライマックスでリー本人が登場する場面は圧巻のひと言。アクションのキレはニセ者とは歴然の違いで、その格好良さが引き立つばかり。

その凄さ、型の美しさ、本物のオーラにカタルシス爆発。それまで延々続いた安いつくりは、本人登場を盛り上げるための(意図しない)長い前フリとなっていたのだ。

最大の強敵、巨人ハキムを演じるのは、NBAの名選手だったカリーム・アブドゥル=ジャバー。ブルース・リーの拳法の弟子で、たまたま香港に滞在していたときリーから出演依頼をされたとのこと。

そしてこの映画で初めて着用した黄色と黒ラインのジャンプスーツは、クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』(03年)でオマージュされたように、ブルース・リーのシンボルスタイルとなった。

80年代にはジャッキー・チェンが代表的なカンフースターとなったが、孤高のカリスマ性、武道家としての肉体美、ヌンチャクや怪鳥音といった道具立ての上手さなど、ブルース・リーの放つ輝きを越えることはなかった。

公開当初は酷評された『死亡遊技』だが、現在はその異色な内容とリーの際立つ存在感により、カルトムービーとして人気を博している。

81年にはブルース・リーの若い頃の出演作(子役時代を含む)のフィルムを用いた『死亡の塔』が公開され、2000年にはオリジナル部分をすべて使ったセミドキュメンタリー映画『Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯』(大串利一監督)が製作されている。

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