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映画「ひまわり」

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ウクライナのひまわり畑

ウクライナ侵攻で注目され、現在日本全国で再上映の運動が広がっている70年公開の名作が『ひまわり』である。

イタリア、フランス、アメリカ、ソビエト合作として製作され、西側諸国の映画として初めてソ連邦内で撮影。ロケ地となったひまわり畑は、ウクライナ南部のクリミア半島向かいに位値するヘルソン州にあるという。現在ロシアの侵攻を受け、多数の民間犠牲者も伝えられている地域だ。

監督は『自転車泥棒』(48年)『終着駅』(53年)などで知られるイタリアの名匠、ヴィットリオ・デ・シーカ。戦争の悲劇に引き裂かれた夫婦を、イタリア映画界の黄金コンビ、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが演じている。

ウクライナの地にどこまでも広がる、大輪を咲かせたひまわりの畑。ヘンリー・マンシーニの哀切に満ちたメロディーが流れる中、戦争によって運命を狂わされた一組の男女の運命が、巧みなストーリーテーリングで語られた。

戦争の悲劇に引き裂かれた夫婦

第二次世界大戦下のイタリア、ナポリ娘のジョバンナ(ソフィア・ローレン)は、出征を控えた兵士アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)と出逢い結婚。12日間の新婚生活を送ったあと、アントニオは列車で北のロシア戦線へと送られていった。

ミラノ中央駅で見送るジョバンナに、アントニオは「毛皮をお土産に帰るから、待っておいで」と約束。しかし戦争が終結しても彼が戻ってくることはなく、ジョバンナは夫の帰宅を待ちながら、行方を捜す日々を過ごしていた。

そんなある日、雪のウクライナでアントニオと同じ部隊にいたという復員兵の話を聞き、いてもたってもいられずロシアに向かうジョアンナ。かの地で夫の写真を大勢の人に見せながら訪ね歩くが、一向にその消息はつかめない。

無数の戦争犠牲者が埋まる ひまわり畑を地元の人に案内され、「諦めなさい」と諭されるも、ジョアンナはそれを拒否。そしてついにアントニオを見つけるが、彼は命を救ってくれたロシア女性と家庭を築いていた。

小さな女の子まで生まれ、平和な家庭を営むかつての夫の姿を目撃し、ジョバンナは逃げるようにミラノへ帰国。アントニオにはそんな彼女を追ってイタリアに姿を現すが、二人の間にはすでに埋めようのない深い溝が横たわっていた。

ローレン、マストロヤンニの名コンビ

『ひまわり』で組んだデ・シーカ監督とローレン、マストロヤンニのコンビによる作品は『昨日・今日・明日』(63年)『ああ結婚』(64年)に続き3作目。前2作は喜劇だったが、『ひまわり』では戦争に引き裂かれた男女の悲劇を、コンビの呼吸の合った演技で熱演。そしてこの悲劇は、今もウクライナで繰り返されている。

『ひまわり』は日本でも大ヒット、ソフィア・ローレン出演作の中で最も知られる作品となった。このあとローレンとマストロヤンニは、94年の『プレタポルテ』(ロバート・アルトマン監督)で久しぶりの共演。この作品は、アルトマンがデ・シーカ監督にオマージュを捧げたものだった。

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