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ワールドカップの歴史 第21回ロシア大会-前編

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FIFAワールドカップ、第21回ロシア大会-前編(2018年)

「テクノロジーの時代」

 

プーチンの野望

09年1月より、ワールドカップ2018年大会と2022年大会の入札受付が開始された。2大会同時に開催国を選ぶことになったのは、FIFA会長ブラッターの提唱した “大陸持ち回り制” により、2014年のブラジル大会がほとんど無風で決定したためである。

「より多くの国に立候補させることで、質の高い大会を実現させる」という理由で、FIFAは “大陸持ち回り制” を廃止。直近2大会で開催された大陸(アフリカと南米)以外なら、どこでも立候補できるようになった。もちろん「質の高い大会~」云々は建前。2大会同時の入札で立候補を増やし、競争を激化させての恩恵に預かろうとしたのだ。

その思惑通り、日本を含む11地域13ヶ国が入札への参加を表明。ブラッター会長の「18年大会はヨーロッパがふさわしい」の発言もあり、開催地候補はイングランド、ロシア、スペイン/ポルトガル(共催)、オランダ/ベルギー(共催)の4つに絞られた。

その中でも本命とされたのが、66年大会以来52年ぶりの開催を狙うイングランド。最新スタジアムやインフラの充実など開催能力は申し分なく、理事へのプレゼンもスマートで完璧。総合力で他の候補をリードしていた。

しかし10年12月にFIFA本部で行なわれた理事会投票では、1回目で22票中の9票を獲得したロシアがトップ。わずか2票しか得られなかったイングランドは、4候補中最下位で落選となってしまう。2回目の投票ではロシアが過半数の13票を獲得、東欧では初のW杯開催が決まった。

ロシアは最高権力者のウラジーミル・プーチン(当時は首相)が、100億ドル以上もの予算を用意し、大国復権を目指しての自国開催実現を号令。招致活動にはチェルシーFCのオーナーであるアブラモヴィッチも関わり、ロビー活動が行なわれた。のちにFIFA理事買収の疑惑が取り沙汰されるも、ウヤムヤのうちに終わっている。

また14年に起きたクリミア併合によるウクライナ紛争に際し、一部の国から開催地変更の声が上がるが、ブラッター会長は「ロシアW杯は多くの票を得て決められたもの。我々は粛々と仕事を進めるだけだ」と声明を出した。

W杯予選では、過去4回の優勝を誇るイタリア、前大会3位のオランダ、前回まで7大会連続出場のアメリカ、2大会連続ベスト16のチリなどの有力国が敗退。初出場はアイスランドとパナマの2ヶ国だった。

また今大会より、勝敗を左右する場面でVTR判定が介入する「ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)」システムを採用。前大会の「ゴールライン・テクノロジー(GLT)」に続く新技術の導入となった。

最弱ホスト国の逆襲

18年6月14日、第21回Wカップ・ロシア大会が開幕。ルジニキ・スタジアム(モスクワ)での開会セレモニーでは、プーチン大統領(12年~)が「私たちの国でW杯が行なわれることを嬉しく思います。ロシアはオープンで、親切で、友好的な国です」とスピーチを行なった。

7万8千の観客を集めた開幕戦は、A組・ホスト国のロシアとサウジアラビアの試合。ロシアは前年10月から親善試合7戦未勝利で、FIFAランクでは出場32ヶ国中31番目。ほとんどが国内リーグでプレーする選手で固められ、際だったタレントもいなかった。そのため下馬評ではG/L突破も難しいと予想され、「史上最弱のホスト国」とさえ呼ばれていた。

だが開幕戦が始まってみると、サウジアラビアに5-0と会心の勝利。続くエジプト戦もサラーのPKによる1点に抑えて3-1の快勝。早くも決勝トーナメント進出を決めた。第3戦はスアレス、カバーニの両エースが得点したウルグアイの前に3-0と破れるも、予想を覆すグループ2位。ホスト国として面目躍如の快進撃を見せた。

B組では、初戦でいきなりスペインとポルガルのイベリア強豪対決が実現する。スペインは大会開幕前日、ロペテギ監督が契約違反により電撃解任。サッカー協会スポーツディレクターのフェルナンド・イエロが、急遽チームの指揮を執った。

ポルトガルはエースのクリスティアーノ・ロナウドが躍動。ジエゴ・コスタの2得点などでスペインに2-3とリードされた終盤の88分、ロナウドが鮮やかなFKを叩き込んで同点。しかもハットトリック達成となる一撃だった。

このあと両チームはイランとモロッコの善戦に苦しみ、1勝2分けで並ぶが、総得点で上回ったスペインが1位、ポルガルが2位でグループを通過した。

新テクノロジーの発動

C組、優勝候補のフランスが初戦でオーストリアと対戦。レ・ブルーの10番を背負うのは19歳の怪物キリアン・エムバペだった。0-0で折り返した後半の58分、グリーズマンがPエリアで倒されると、一旦主審に流されるも、ここで大会初となるVAR判定が発動。フランスのPKが認められ、グリーズマン自身が沈めて先制する。

その4分後にPKを献上して追いつかれるも、81分にポグバのシュートがオウンゴールを誘って決勝点。この得点はGLTによって確認されたもので、フランスは2つの判定システムに助けられて初戦をモノにした。

第2戦は、エムバペの同国史上最年少となるW杯初ゴールでペルーに1-0と勝利。フランスが最終節を残してグループ突破を決める。第3戦はデンマークと0-0の引き分け。この結果フランスが1位、1勝2分けのデンマークが2位で決勝ステージに進んだ。

D組本命のアルゼンチンは、初戦で初出場のアイスランドに苦戦。1-1で迎えた後半の64分、アルゼンチンがPKを獲得するも、リオネル・メッシのキックはGKハルドルソンのナイスセーブに阻まれ失敗。格下相手に初戦を引き分け、痛恨のスタートとなった。

同組のクロアチアは、豊富なタレント揃える中盤が好調。初戦はナイジェリアに実力の違いを見せつけて2-0と快勝し、第2戦でアルゼンチンとの強豪対決に臨む。

前半は拮抗した攻防が続きスコアレスで折り返すが、後半の53分、相手GKのミスを突いてクロアチアが先制。このあと堅守と組織力でアルゼンチンの反撃を許さず、80分にはルカ・モドリッチの豪快シュートで追加点。アディショナルタイムにもラキティッチのゴールでとどめを差す。

2連勝のクロアチアはグループ通過を確定。他会場ではナイジェリアがアイスランドに2-0と勝利し、アルゼンチンのG/L突破に黄色信号が灯る。

アルゼンチンは第3戦でナイジェリアと対戦。前半14分にメッシのゴールで先制するも、51分にPKを与えて同点。試合は1-1のまま終盤を迎え、アルゼンチンが敗退の危機に追い込まれた86分、メッシを起点に右サイドを崩してM・ロホが決勝弾。結果アルゼンチンがナイジェリアをかわして2位を確保、3戦全勝のクロアチアが1位でグループを勝ち上がった。

大国ドイツの敗退

E組は、前回の自国開催大会で「ミネイロンの惨劇」に泣いたブラジルが登場。4年前の雪辱を期すも、初戦は堅守のスイスを相手に1-1と引き分け、続くコスタリカ戦も圧倒的に攻めながら苦戦を強いられた。

エースのネイマールは強引な突破でボールロストを繰り返し、大袈裟な演技で得たPKがVARに見抜かれて取り消されてしまう始末。それに意義を唱えてイエローカードを貰うという醜態もさらし、ファンからは「転び屋」と揶揄された。膠着したゲームは0-0のまま終盤まで進んでいく。

2戦連続の引き分けに終わるかと思えた後半アディショナルタイム、コウチーニョのシュートが名手ナバスの股を抜いてゴール。終了直前にはネイマールの得点も生まれ、土壇場で2-0の勝利。ブラジルが貴重な勝点を得た。

最終節はセルビアに2-0と快勝し、カナリア軍団が1位通過を決定。1勝2分けのスイスが2位で勝ち抜け、前大会ベスト8の快挙で旋風を起こしたコスタリカは最下位に沈んだ。

今大会で最もタフなグループと言われたF組は、波乱の幕開けとなった。初戦はメキシコと前回王者ドイツの対戦。メキシコはドイツにボールを持たせながら、選手の巧みな配置とハードプレスで大国の攻撃を封殺する。

そして前半の35分、中盤でボールを奪ってから一気のカウンター攻撃。左サイドを猛然と駆け抜けたラサーノが、ノイアーのニアサイドを破って先制点を奪う。このあとメキシコはドイツの猛攻をしのぎ、1-0の勝利。歴史的金星で初戦を飾った。

メキシコは第2戦で韓国を2-1と下し、グループ突破を確定。初戦を落としたドイツは第2戦のスウェーデン戦でも精彩を欠き、最終盤まで1-1と苦戦。アディショナルタイムの5分にクロースの決勝ゴールが生まれ、どうにか踏みとどまった。

第3戦に決勝トーナメント進出を懸けるドイツは、2連敗ながらわずかに突破の可能性を残す韓国と対戦する。互いに必死の攻防を繰り広げ、ゲームは後半のアディショナルタイムに突入。その3分、左CKのチャンスから金英権キムヨングォンが左足で押し込みゴール。一旦オフサイドの旗が上がるが、VAR判定で得点が認められて韓国が先制する。

追い込まれたドイツは、GKノイアーも敵陣に駆け上がって攻撃参加。しかしAT6分にノイアーがボールを奪われ、そこからのロングパスに反応した孫興民ソンフンミンの独走を許す。そして無人のゴールへボールを流し込まれて0-2の敗戦、ドイツは奈落の底へ叩き落とされた。

他会場の試合は、スウェーデンがメキシコに3-0の勝利。この結果スウェーデンが得失点差で1位となり、メキシコが2位。大会連覇を狙ったドイツは最下位に沈み、W杯初のG/L敗退を喫するという大波乱となった。しかし前回王者がG/L敗退となるのは、ここ5大会で4度目のこと。もはや珍しい現象ではなかった。

好調のイングランドとベルギー

G組は、イングランドとベルギーによる2強の争い。イングランドは初戦でエースのハリー・ケインが2得点の活躍、チュニジアに2-1と勝利した。第2戦も好調ケインのハットトリックで、初出場のパナマを6-1と一蹴する。

ベルギーも初戦でエースのロメル・ルカクが2得点を記録、初陣パナマを3-0と退けた。第2戦はルカクとエデン・アザールが揃って2得点、高い攻撃力でチュニジアを5-2と粉砕する。

第3戦は、グループ突破を決めた2強が対戦。しかし両チームとも主力を温存し、無難なサッカーに終始した。試合はヤヌザイのゴールでベルギーが1-0の勝利、破れたイングランドも余裕の2位通過となった。一方初出場のパナマは、3戦全敗で大会を去っていった。

H組は、日本が初戦で格上コロンビアを2-1と撃破。破れたコロンビアも、その後ポーランドに3-0、セネガルに1-0と勝利し、逆転での1位突破となった。1勝1敗1分けの日本はセネガルと勝点、得失点差などで並ぶも、今大会から採用された “フェアプレーポイント” で上回り、2位での決勝トーナメント進出を決める。

こうしてグループリーグの全日程が終了。決勝トーナメントの組み合わせは、ウルグアイ vs ポルトガル、フランス vs アルゼンチン、ブラジル vs メキシコ、ベルギー vs 日本、スペイン vs ロシア、クロアチア vs デンマーク、スウェーデン vs スイス、コロンビア vsイングランドとなった。

次:第21回ロシア大会-後編(2018年)

カテゴリー サッカー史

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