最多ノミネートは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
日本時間の24日、第95回 米アカデミー賞の各部門ノミネートが発表された。
今回の最多ノミネートとなったのは、ミシェル・ヨー主演の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。作品賞、監督賞、主演女優賞など10部門で11ノミネートされている。
またトム・クルーズの『トップガン マーヴェリック』や、ジェームズ・キャメロンの『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』といった大ヒット映画も作品賞にノミネート。『フェイブルマンズ』のスティーヴン・スピルバーグ監督は、2年連続で作品賞と監督賞にノミネートされた。
その他にも、今回の作品賞にノミネートされた10本を中心に紹介。
*青字はノミネート対象者
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 A24製作
監督:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート 出演:ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティス、ステファニー・スー他
【ノミネート対象部門】 作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞(2名)、脚本賞、衣装デザイン賞、作曲賞、編集賞、歌曲賞
マルチバース(多元宇宙)を題材としたSF設定に、カンフーアクションの要素を加えたエンターテインメント快作。奇想天外ながらオリジナリティー溢れる物語が大いに評価され、今回の作品賞有力候補とされている。主演は『グリーン・ディスティニー』『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』のミシェル・ヨー。『インディー・ジョーンズ 魔宮の伝説』『グーニーズ』で東洋人の子役を演じたキー・ホイ・クァンも助演男優賞にノミネートされている。
『トップガン マーヴェリック』 パラマウント映画
監督:ジョセフ・コジンスキー 出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー他
【ノミネート対象部門】 作品賞、脚色賞、視覚効果賞、編集賞、音響賞、歌曲賞
コロナ禍による延期をものともせず、上映されるや最大のヒットを記録したエンターテインメント超大作が今回の作品賞にノミネート。一切の妥協を排除して、本物の迫力を持つ映画を世に送り出したトム・クルーズの功績は大きい。
『イニシェリン島の精霊』 サーチライト配給
監督:マーティン・マクドナー 出演:コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、バリー・コーガン、ケリー・ゴンドン他
【ノミネート対象部門】 作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞(2名)、助演女優賞、脚本賞、編集賞
時代はアイルランド紛争に揺れる1927年。その沖の孤島イニシェリン島を舞台とした寓話的ヒューマンドラマ。監督は『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー。アイルランドの精霊バンシーをモチーフに、主役のコリン・ファレルらが見事なアンサンブル。4人が俳優賞にノミネートされた。
『フェイブルマンズ』 ユニバーサル映画
監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:ミシェル・ウィリアムズ、ガブリエル・ラベル、ジャド・ハーシュ、ポール・ダノ他
【ノミネート対象部門】 作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚本賞、美術賞、作曲賞
巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督による半自伝的なファミリーストーリー。去年の『ウェスト・サイド・ストーリ』に続いて作品賞と監督賞にノミネートされた。監督自身を投影した映画少年サミー・フェイブルマンを演じるのは、新鋭のガブリエル・ラベル。母親役は『ブロー・バック・マウンテン』のミシェル・ウィリアムズが務めている。
『TAR ター』 ギャガ配給
監督:トッド・フィールド 出演:ケイト・ブランシェット、ノエミ・メルラン、ニーナ・ホス他
【ノミネート対象部門】 作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞、編集賞
有名管弦楽団の女性指揮者リディア・ター(映画オリジナルの人物)を主人公に、権力の本質と人間の心の闇を描いた社会派ドラマ。権力を振るう天才指揮者を熱演したケイト・ブランシェットが、今回の主演女優賞の最有力候補とされている。
『エルヴィス』 ワーナーブラザース映画
監督:バズ・ラーマン 出演:オースティン・バトラー、トム・ハンクス他
【ノミネート対象部門】 作品賞、主演男優賞、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、編集賞
音響賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞
「キング・オブ・ロックンロール」と呼ばれたエルヴィス・プレスリーの半生と謎の死を、数々のヒット曲を交えて描く近年流行りの音楽伝記映画。若手のオースティン・バトラーが伝説のエルヴィスを熱唱とともに好演している。
『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』 20世紀フォックス映画
監督:ジェームズ・キャメロン 出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルナダ、シガニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング他
【ノミネート対象部門】 作品賞、視覚効果賞、美術賞、音響賞
2009年の大ヒット3D映画『アバター』の13年ぶりとなる続編。前回から10年以上を経たパンドラ星を舞台に、今作品では海の楽園とリアルな水中アクションが、進化した撮影技術による圧倒的な映像美で描かれた。
『西部戦線異状なし』 Netflix配信
監督:エドワード・ベルガー 出演:フェリックス・カメラー、アルブレヒト・シュッヘ他
【ノミネート対象部門】 作品賞、脚色賞、視覚効果賞、美術賞、撮影賞、音響賞、国際長編映画賞
メイクアップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞
第3回米アカデミーの作品賞を受賞した反戦映画の名作(1930年製作、エリッヒ・レマルク原作・ルイス・マイルストン監督)を、ドイツの製作陣がドイツ語でリメイクしたネット配信作品。主人公である17歳のドイツ兵パウルを演じたのは、これが映画初出演となるフェリックス・カメラー。
*リンク画像は30年のオリジナル作品
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』 UA配給
監督:サラ・ポーリー 出演:ルーニー・マーラ、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ベン・ウィショー他
【ノミネート対象部門】 作品賞、脚色賞
カナダ出身の女優で監督・脚本家でもあるサラ・ポーリによる会話劇。主演は『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラ。クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、フランシス・マクドーマンドら実力派の女優陣が脇を固める。
『逆転のトライアングル』 ギャガ配給
監督:リューベン・オストルンド 出演:チャルビー・ディーン、ハリス・ディッキンソン、ウッディ・ハレルソン他
【ノミネート対象部門】 作品賞、監督賞、脚本賞
2022年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した人間風刺劇。スウェーデンの鬼才リューベン・オストルンド監督が、現代の虚栄に生きる若者たちをブラックユーモアと皮肉で描いた痛快作。主役を演じたチャルビー・ディーンは、20年に32歳の若さで死去。当作品が遺作となった。
他にも、黒澤明監督の傑作『生きる』(52年)をリメイクしたイギリス映画『生きる LIVING』のシナリオを担当したノーベル賞作家、カズオ・イシグロが脚色賞にノミネート。話題のインド映画『RRR』は歌曲賞のみでノミネートされた。
第95回アカデミー賞の発表と授与式は、日本時間3月13日にロサンゼルスのドルビーシアターで行なわれる予定だ。
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