28日放送のBS1『サッカーの園 ~究極のワンプレー~』、今回のお題は【ワントップ】 いま世界で主流となっているシステムであり、ポストプレー、フィジカル、高さ、スピードなど、選手の個性が現れるのがこのポジション。
スタジオゲストには、サンフレッチェ時代にワントップでゴールを量産した佐藤寿人さん、フロンターレやエスパルスで活躍した鄭大世さん、その鄭大世や大久保嘉人、小林悠らJリーグ屈指のワントップとコンビを組んだ中村憲剛さんが登場。「究極のワンプレー」の奥義を語る。
今回が番組初出演となる鄭大世さん。その迫力あるプレーで知られたフィジカルモンスター。フロンターレ時代の07年には、ガンバ大阪の山口智、明神智和、安田理大ら日本代表級選手をなぎ倒し。【人間ブルドーザー】の異名をとったガテン系のワントップだ。
スピードの浅野琢磨、動きの質の古橋亨梧、運動量の前田大然、ポストプレーの上田綺世、忍者ポーズの町野修斗と、熾烈なポジション争いが繰り広げられている日本代表のワントップ。この中からノミネートされたのは、ホルシュタイン・キール(ブンデスリーガ2部)への完全移籍が発表されたばかりの町野選手。
185㎝の恵まれた身体で、昨シーズンはJ1湘南で得点ランキング2位の13ゴールを記録。伊賀市出身の由来から「忍者ポーズ」のパフォーマンスで知られる大型ワントップだ。
そのプレーも忍者を彷彿とさせるもの。今年4月のガンバ大阪戦では、相手の隙を突くゴール、強烈ボレー、華麗なループ、そしてスライディングシュートと前半だけで4得点を記録。さらに別の試合では、気配を消してからの抜け出してヘディングゴール。忍者ばりの多彩な技を披露した。
もともと中盤の選手だった経験を生かし、周りを使いながらのプレーを真骨頂とする町野選手。その「究極のワンプレー」が、22年10月のサガン鳥栖戦。右へ走る味方の動きを生かし、相手DFをキーパーの目隠しとして左コースへ狙い撃ち。周囲の状況を巧みに使ってゴールを決めた場面だ。
この【多彩な技でゴールを奪う】町野選手が1番目のエントリー。でも佐藤さんの命名した「ドロン町野」って・・、ドイツじゃ流行らないだろ。
続いて出演者たちがイチ推しのワントップを紹介。鄭大世さんは元チームメイトのドウグラス、佐藤さんは「ドラゴン」久保竜彦さん、中村さんは「J1最多得点」の大久保嘉人さん、その大久保さんはスタジオゲストの佐藤さんを推薦。
そして笹木かおりさんイチ推しのワントップが、昨季横浜FCで26ゴールを奪ってJ2得点王に輝いた小川航基選手。そのうち18ゴールがワンタッチゴールという、今季エールディヴィジ・NECへの期限付き移籍も有力視される期待のワントップだ。
小川選手の強みは、右足、左足、頭と多彩なフィニッシュパターンを持つプレーの幅広さ。その「究極のワンプレー」が、22年4月の仙台戦。後方からのロングボールに、歩幅を調整しての華麗なボレーシュート。イメージ通りの得点を決めた場面だ。
「ワンタッチゴールの達人」佐藤寿人さんの系譜を受け継ぐ【ワンタッチゴーラー】小川航基選手が2番目のエントリー。
3番目のノミネートは、現日本代表コーチの前田遼一さん。元日本代表FWとして11年アジアカップ制覇に貢献した不動のワントップ。絶対的な得点能力と味方を活かすポストプレーで一時代を築き、パスも出せる選手として活躍した万能型FWだ。
同世代の盟友である闘莉王さんよれば、その特長は他の選手に比べて外側に開くつま先の向き。このわずかな違いがプレーの選択肢を増やし、DFに迷いを与えるステップを生むのだという。
さらに前田さんが武器とするのは、J1通算最多(46得点)を誇るヘディングゴール。その多くが磐田時代にホットラインを組んだ右サイドバック、駒野友一さんからのクロスによるもの。また前田さんの左右どちらの足からもゴールを奪える能力で、駒野さんにもパスの選択肢が増えたとのこと。
その “ベストパートナー” 駒野さんが選ぶ「究極のワンプレー」が、2011年の対柏レイソル戦。サイドの駒野にボールが渡った瞬間、ゴール前の前田さんは相手DFに外に張るかと見せて動き直し。ニアに走ってフリーでクロスに合わせた場面だ。
この前田遼一【万能ワントップ】が3番目のエントリー。
最後のノミネートは、未来を担う21歳「次世代ワントップ」の中島大嘉選手。昨季コンサドーレ札幌で台頭し、今季は6月から名古屋グランパスへ期限付き移籍。今後の飛躍が期待されるパリ五輪世代の新星だ。
彼の武器は188㎝の長身を活かしたヘディング。昨シーズンは6ゴール中5ゴールを頭で奪ったという。また攻守に見せる圧倒的な高さに加え、一瞬にゴールへ迫るスピードと相手DFをなぎ倒すパワーを兼ね備えたプレースタイルで、「和製ハーランド」と呼ばれる規格外のFWなのだ。
だが本人はなぜか「地球製・中島大嘉」と自称。また「リトルホンダ」に対抗して「ビッグタイカ」と呼ばれたいと語るワードセンスの無さと、大物級のビッグマウスも規格外の「怪物ワントップ」である。
中島選手の父親は、大久保嘉人さんの国見高校時代の1つ先輩。“大嘉” という名前は「嘉人よりも大きくなれ」とお父さんから付けられたそう。その大久保さんは中島選手に「身体能力はズバ抜けているが、頭が働いていない」と苦言。期待が大きいからこその有り難い言葉だ。
興梠慎三選手、佐藤寿人さん、鄭大世さんらのプレーを参考にしながら、動き方を勉強中だと言う中島選手。その「究極のワンプレー」が、22年3月の対セレッソ大阪戦。右クロスにDFの背後からスペースに飛び込んでプロ初ゴールを決めた場面。「動き出すタイミングと入る場所がパーフェクト」と自賛する会心の一撃だ。
この中島大嘉選手【次世代 怪物ワントップ】が4番目のエントリー。
そして鄭大世さんを加えた5人の中から、前園さんは中島選手を「究極のワントップ」に選出。日本のワントップにいない、彼のポテンシャルの高さに期待してのチョイスとなった。彼のスケールの大きなワントップぶりを、ぜひ日本代表のピッチでも見てみたいものですね。
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