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フレッド・ジンネマン「ジャッカルの日」

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F・フォーサイス、ベストセラー小説の映画化

1973年公開『ジャッカルの日』は、フレデリック・フォーサイス原作のベストセラー小説を、名匠フレッド・ジンネマン監督がクールなドキュメンタリータッチで描いたスリラーサスペンスの傑作。

フランス大統領、シャルル = ド・ゴール(在職1959~69年)暗殺を請け負ったプロの殺し屋「ジャッカル」役に英国俳優のエドワード・フォックス。その暗殺計画を阻止しようとするパリ警官ルベル警視を、仏俳優マイケル・ロンズデールが演じている。

『ジャッカルの日』はジャーナリスト出身のフォーサイスが、ド・ゴール大統領の警護官から見聞きしたエピソードを元に、虚実を交えながら語られるポリティカルスリラー。発表されるやたちまちベストセラーとなり、ジンネマン監督による映画もヒットした。

一部には原作より映画の方が面白いと評価する物もあり、『オデッサファイル』『戦争の犬たち』とフォーサイスの小説が次々に映画化されたのは、ジンネマン監督の功績と言えるだろう。

ド・ゴール大統領暗殺計画

1963年3月、フランス政府転覆を企てる極右グループ「秘密軍事組織(OAS)」の最高幹部が捕まり銃殺。壊滅寸前となったOASは、プロの殺し屋「ジャッカル」を50万ドルで雇い、ド・ゴール暗殺に組織復活への望みをかける。

一方、OSAの動きに不穏な空気を感じたフランス当局は、組織幹部の関係者を捕らえて拷問。そこでコードネーム「ジャッカル」による暗殺計画が進行中だということを知る。

そこでフランス当局は、パリ警察の実績豊富なベテラン、ルベル警視に捜査を一任。ルベルはフランスに侵入したと思われる「ジャッカル」の行方を求め、徹底的な入国者の洗い出しにかかる。

しかし「ジャッカル」はその厳重な捜査の網をかいくぐり、8月25日の「パリ解放式典」が行われる会場近くにあるビルへ侵入。式典に臨む大統領の頭を狙い、狙撃銃を構えた。

ジンネマン監督のドキュメンタリー風演出

フレッド・ジンネマン監督は、『地上ここより永遠とわに』(53年)『わが命つきるとも』(66年)で米アカデミー賞の作品賞、監督賞を受賞したアメリカの巨匠。

彼の代表作のひとつである『真昼の決闘』(52年)は、“3一致の法則” と呼ばれる、映画の中の時間経過と現実の時間経過がシンクロする手法が用いられ、ドキュメントタッチによるリアリズム西部劇の傑作となった。

『ジャッカルの日』ではこの手法にさらに磨きがかかり、淡々と描写が重ねられながらもスリリング。暗殺者「ジャッカル」を演じるエドワード・フォックスの能面のようなクールな演技も相まって、本当のドキュメンタリーを観ているような気分にさせる。

その効果を支えているのが、暗殺者「ジャッカル」のプロフェッショナルぶりを見せる緻密な段取り描写。特に特注の組み立て銃を試射し、補正を行うという場面はリアリティーに溢れ、そのクールさがサスペンスを盛り上げている。

また人間味に溢れたベテラン刑事、ルベル警視という対照的な人物の配置も絶妙。この配役が映画のドラマ性に厚みをもたらしている。

ド・ゴールは暗殺されないというのは分かりきっている史実だが、観客は「ジャッカル」あるいはルベル警視になった気分で緊張を味わうことになる。

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