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007 ロシアより愛をこめて/ゴールドフィンガー

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洗練されたスパイアクション『ロシアより愛をこめて』

62年公開『ドクター・ノオ』は大ヒットし、63年には続編の『ロシアより愛をこめて』が作られる。低予算映画でB級感も漂っていた『ドクター・ノオ』だが、制作費が倍増した『ロシアより愛をこめて』では見せ場の多い、洗練されたスパイアクションに仕上がっている。

イスタンブール・ベネチア・オリエント急行、というエキゾチックな舞台仕立てと現実味のあるストーリーが観客を魅了し、今でもファンの間で人気の高い作品である。この頃のジェームズ・ボンドはのちに見られるほどの超人ではなく、オリエント急行を使ったサスペンスはシリーズ屈指だ。

次作『ゴールドフィンガー』以降は荒唐無稽さが増し、ストーリーより見せ場重視となるため、スパイ映画としての展開をじっくり味わえるシリーズ唯一の作品と言える。ボンドを付け狙うスペクターの工作員にロバート・ショウ、ボンドガールはダニエラ・ビアンキが務めている。

シリーズの形を作った作品

この作品は、いきなりボンドが殺られるという衝撃的なシーンから始まる。その後に続くのが、映画のテーマ曲に合わせて半裸の女性ダンサーにクレジットが写し出されるオープニング・タイトルだ。この見事な導入部分は以降007シリーズの定番となり、現在まで続いている。

またオープニング・タイトルでは曲だけだったが、マット・モンローの歌う情感たっぷりな主題歌も大ヒット、これもまたボンド映画に欠かせない要素となった。またこの作品で初めて登場したのが、映画を盛り上げる“スパイの秘密装備”だ。

『ロシアより愛をこめて』では仕掛の施されたアタッシュケースが登場し、ストーリーに重要な役目を果たす。このアタッシュケースは、造りはシンプルだがマニア心をくすぐるに充分なアイテムだ。シリーズを重ねるにつれ高性能で奇抜な秘密装備が登場するようになるが、味わい深さではこのアタッシュケースが一番だろう。

その他にも、犯罪組織スペクターの本格的な登場、手強い殺し屋、魅力的なボンドガール、ウィットに富んだ会話、イギリス人スパイらしい洒脱さと男の色気、といったボンド映画の様式が整い、この後のシリーズの形を作った作品となる。

007シリーズ様式の完成『ゴールドフィンガー』

『ロシアより愛をこめて』も前作を上回る大ヒットを記録し、64年にはシリーズ3作目の『ゴールドフィンガー』が作られる。前2作のテレンス・ヤングに替わり、監督を務めたのはガイ・ミルトン。空前の犯罪計画を企てる悪党ゴールドフィンガーにゲルト・フレーべ、汚い仕事を一手に引き受ける忠実な部下オッドジョブを日系人のハロルド坂田が演じている。

予算をかけて作られたこの映画は、ノックス基地の稼働模型や基地内部の大掛かりなセット作られるなどスケールアップし、プロットは大味だが贅沢感を味わえる作品となっている。ウエットスーツを脱ぐと、白いタキシード姿のボンドが現われるプレタイトルも粋で格好いい。

シリーズ初のお目見えとなったのが、Qの開発した秘密兵器搭載の“ボンドカー”。『ゴールドフィンガー』ではボンドカーの代名詞となるアストン・マーチンDB5が登場し、タイヤホイールから突き出す回転ドリル・追跡妨害の煙幕やオイル噴射装置・ルーフから飛び出る助手席などの仕掛が観客を楽しませる。

そしてこの映画から、ボンドガールも3人となる。1人目は敵方の女性で、ボンドと関わった後あっさり殺される役。『ゴールドフィンガー』では、身体中に金箔を塗られ窒息死(?)したという設定の女性だ。2人目はボンド側の女性で、この役も映画の途中で殺されることが多い。

そして3人目が映画のヒロインとなる、メインのボンドガールだ。この女性はボンドと一緒にクライマックスシーンで活躍し、事件解決後ラブシーンを演じる役だ。『ゴールドフィンガー』ではオナー・ブラックマン演じる“プッシー・ガロア”ということになるが、セクハラ全開のこの役名は当時でも問題となったようだ。

このボンドガール3人制のパターンは脚本を作る際の必須項目となり、ロジャー・ムーア“ボンド”の頃まで続く。『ゴールドフィンガー』で007シリーズの様式は完成し、公開されると爆発的なヒットを記録した。シャリー・バッシーの歌う力強い主題歌も有名になり、音楽もボンド映画を支える魅力のひとつとなっている。

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