映画「6才のボクが、大人になるまで。」




14年公開の『6才のボクが、大人になるまで。』は、一人の男の子の成長を中心に、取り巻く家族たちの変化と時の移り変わりを映画いたヒューマンドラマ。映画で扱われる題材は、両親の離婚と引っ越し、母親の再婚と義父との関係、初恋と失恋など、ごくありがちな内容。

でもこの映画が他の作品と違うのは、6才から18才までを演じる男の子とその家族が、全く同じ演者によって撮影されているということ。つまりこの『6才のボクが、大人になるまで。』は子役を年齢で替えず、同じキャストで12年を掛けて撮られた作品なのだ。

監督と脚本は『恋人までの距離』のリチャード・リンクレイター。作品の軸となる男の子メイソン・ジュニアをエラー、コルトレーン、その姉サマンサを監督の娘ローレライ・リンクレイターが演じている。そして二人の母親オリビアを演じるのが『トゥルー・ロマンス』のパトリシア・アークエット、別れて別に住む父親エバンス・シニアには『恋人までの距離』で主演を務めたイーサン・ホーク。


12年を掛け、同じキャスティングで一本の作品を撮るというのはリスキーな企画。12の歳月で、大人のプロの役者でも何が起こるか分からないし、ましてや子供となればもっと予測不能。だ子役を成長に合わせて替える事をしないことが、この作品を制作する意図なのだろう。

物語の筋は、一人の少年が成長するまで経験するだろう、小さなエピソードの積み重ね。なんかの事件が起きて盛り上げるわけではない。また時間の経過も説明無く進行し、特に今が何年とか示されるわけでもない。だがパソコンやスマホ、最新のゲーム機器などでなんとなく時代の変化を映し出している。

6才の可愛い坊やメイソンが、最後は18才の髭面のお兄ちゃんへ。いたずらっ子だった姉のサマンサも大人の女生徒なり、母親のオリビアも年月を経てぽっちゃり体型。フーテンキャラだった親父も、歳をとってそれなりの貫禄が。

まさにこの映画は家族の成長を描くというより、精神面や体型面も含めて人々の変化を描く半ドキュメンタリー的な映画だ。つまりこの作品の主眼は物語を描く事ではなく、いつの間にか過ぎてゆく時の移ろいを、登場人物の変化を物差しにして観客に感じさせることにあると思う。

ラストシーン、高校を卒業するメイソンと同級の女の子との会話で示される、過ぎ去る時間と人間の関係というテーマ。それを自然に描くため、演者のリアルな経年変化が必要だったのだろう。ちょっと実験映画ぽいが、観客にも興味を抱かせる作り方だ。

それとテーマとはあんまり関係ないけど、ストレートなアンチ・ブッシュとオバマ支持のエピソード。日本とは違い、政治色をはっきりさせるアメリカ映画らしくて面白かった。

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