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「スポーツ×ヒューマン」長谷部誠・岡崎慎司・吉田麻也

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欧州で戦うベテラン3人

BS1のスポーツドキュメンタリー番組『スポーツ×ヒューマン』28日の放送は、【欧州で “生き残る” 長谷部誠 × 岡崎慎司 × 吉田麻也】。長く欧州リーグで活躍する長谷部誠、岡崎慎司、吉田麻也のベテラン3人がオンラインで対談、競争が激しい欧州での生き残り体験を語る。

過酷な環境で生き残る極意とは?、苦手だった監督とは?、欧州にやって来る選手に対するメッセージは?など、盟友同士ならではの本音トークがノーナレションで届けられて、興味深い話が聞ける内容だった。

36歳の長谷部は現在ドイツのフランクフルトに所属。欧州挑戦14シーズンをブンデスリーガ一筋で過ごし、昨シーズンには車範根(韓国)のアジア選手最多出場記録を更新している。

34歳の岡崎慎司は現在スペインのウエスカに所属。ドイツのマインツ時代は高原直泰の持つ日本人最多得点記録を更新(15ゴール)、イングランドのレスター時代には奇跡のリーグ優勝に貢献している。

32歳の吉田麻也は現在イタリアのサンプドリアに所属。本田圭佑も所属したオランダのVVVフェンローでプレーしたあと、イングランドのサウサンプトンへ移籍。そこで8シーズンを過ごし、今年はセリエAへの挑戦となった。

どん底からの生き残り

最初のテーマは “どん底体験”。岡崎は清水エスパルスから24歳でシュトゥットガルトに移籍。「責任は押しつけてくるし、助けても助けてくれない」と、文化も考え方も違うドイツに最初は馴染めなかったが、1~2年経つと「受け入れるしかない」みたいに諦観するしかなかったとのこと。日本に早く帰る選手は、そこで壁にぶち当たってしまうらしい。

サウサンプトン移籍2年目、試合に出して貰えなくなった吉田は「変えられないものはしょうがない」と自分の出来ることに集中。そして負けが込んだタイミングに自作の比較データを持って監督と談判し、出場機会を得たそうだ。

ヴォルフスブルク時代、移籍を志願して干されたという経験を語る長谷部。マガト監督から構想外とされ、練習への参加も許されず、ずっと森をランニングさせられていたそうだ。先の見えない絶望的な状況から脱出し生き残るため、やりたくないこともやってきたと振り返る。

監督やチームメイトたち

次の話題は、チームでの人間関係について。「苦手な監督はハリルホジッチとブルーノ・ラバディア(元シュトゥットガルト)」とぶっちゃける岡崎。決して「No」とは言わない現日本代表・森保監督に対し、選手の訴えには「No」と全く聞く耳を持たなかったハリル。キャプテンだった長谷部も、「監督と本田に挟まれ、調和をとるのが大変だった」と当時の苦労を語る。

現キャプテンの吉田が「どの監督も結局はハセベ、ハセベってなるじゃないですか。あの政治力ってか、調和力は凄い」と感心すると、元キャプテンは「俺はゴマを擦っているだけ」とただただ謙遜。

選手のエゴについて吉田は、元チームメイトのファンダイク(現リバプール、19年欧州最優秀選手)を、「足が速くて追いついちゃうから、全然ライン合わせてくんないの」と苦笑。岡崎も「自分がミスをしても周りにめっちゃキレてる」、長谷部は「ファンダイクさんには何も言えないよね」と、自己主張の強い同僚を持ったことに同情するしかない。

苦境からの脱出

そのあと、「ポカした時」について岡崎からのツッコミを受ける吉田。サウサンプトン、クーマン監督時代の失点に絡んだバックパスミス(これで出場機会が減ってしまった)、13年コンフェデレーションズカップ・イタリア戦でのミス(オウンゴールに繋がった)、去年のアジアカップでのハンド(1試合2つ)といった凡ミスの数々を指摘される。

そのほか11年アジアカップで退場&PKとなった大きなミスも思い出され、必死に言い訳する吉田だが、やらかしグセのある選手という印象は拭えない。

その吉田は年齢からサウサンプトンの契約を切られ、今季サンプドリアに移籍。長谷部も「欧州は年齢に対してとてもシビア」と生き残りの厳しさを語る。また「環境を変えることでしか、モチベーションを維持できない」という岡崎は、そのためにドイツ、イングランド、スペインの3ヶ国を渡り歩いたそうだ。

奇跡の優勝を果たしたレスターでは、28試合に出場して25試合で途中交代。いつもラニエリ監督にハーフタイムに交代を告げられ、「チームのためと割り切るのが難しかった」とその悔しさを語る。

ドイツ一筋で14シーズンを過ごした長谷部は、「何度も日本に帰ろうと思った」と意外な事実を告白。ブラジルWカップ大会前の30歳で右膝を手術、今もその痛みを引きずっているらしい。

当時の様子を知る吉田が「あの状態から復活したのは凄い」と賞賛すると、長谷部は「ハングリーさというか、もっともっとと思う気持ちが大事」とメンタルの重要性を語る。そして現役を続けるモチベーションについては「ここ数年サッカーが分かって楽しくなった、自分が上手くなっている感覚がある」から。

後進へのメッセージとこれからの展望

「結局欧州で長く生き残っているのは、やっぱりサッカーに集中してきた選手」と言う長谷部。その言葉に岡崎は「サッカー以外の事もやってます、は違うと思う」と強く反応。「生き方は自由だけど、サッカー以外の事をやっているのを正当化するのはおかしい。それを逃げ道にしている」と熱弁。

さらに「めちゃめちゃ夢を語る選手に限って、そういうことを言う」と憤慨が収まらない様子に、もしかしてあの選手をディスっているのかなと思ったら、吉田が「岡ちゃんは本田さんとか長友さんとかに厳しいからね」とズバリ指摘。吉田も、長谷部や岡崎が感じる今の風潮に、疑問を感じるところがあるらしい。

最後は欧州にやって来る選手へのメッセージと日本サッカーの展望。吉田は「もっともっと多くの選手が高いレベルでプレーする環境に身を置き、何でもやるという気持ちで力を伸ばして欲しい」、岡崎は「若い選手がただ行けばいいというだけじゃなく、覚悟を持って活躍するという流れをつくることが大事」と語る。

トリを務める長谷部の言葉は「もっともっと皆でディスカッションして、それぞれの経験値を日本に還元するシステムづくりが必要。日本サッカーに対して、どれだけの思いで関わるかが重要だ」とその考えを述べる。でもその長谷部は、引退後にフランクフルトのアンバサダー就任が決まっているというオチ付き。

今回の対談に手応えを感じたらしい3人は「めちゃくちゃ良い番組になる」と自画自讃。その通り中身の濃い内容で満足でした。

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