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ワールドカップの歴史 第21回ロシア大会-後編

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FIFAワールドカップ、第21回ロシア大会-後編(2018年)

「レ・ブルーのシン・モンスター」

 

前編「テクノロジーの時代」より続く

スーパースターの世代交代
決勝トーナメント1回戦で最も注目のカードとなったのは、前大会準優勝のアルゼンチンとユーロ2016準優勝のフランスが激突した試合だった。

開始11分、自陣でボールを奪ったエムバペが怒濤のドリブルで中央突破。マスケラーノを置き去りにしてPエリアに侵入すると、たまらず手を掛けたM・ロホのファールを誘いPKを獲得。これをグリーズマンが落ち着いて沈め、フランスが早くもリードを奪う。

このあともエムバペのスピードに翻弄されたアルゼンチンだが、徐々に落ち着きを取り戻してボールを持つ時間も増えてきた。その41分、中央でフリーとなったディ・マリアが左足一閃。鮮やかなミドルシュートが決まって前半を1-1で折り返す。

そして後半立ち上がりの48分、セットプレーのチャンスからメッシがシュート。コース上にいたメルカドが左足で触り、ボールはキーパーの逆を突いてゴールイン。アルゼンチンはラッキーな形で逆転に成功した。

しかしここからフランスがギアを上げ、57分には左サイドを抜け出したヘルナンデスの折り返しからパバールが芸術的ボレー弾。たちまち同点へ追いく。

さらに64分、ゴール前の混戦を巧みに抜けたエムバペが狙い澄ましたシュート。逆転のゴールがネットを揺らす。その4分後、カウンターからジルーのパスに抜け出したエムバペが追加点。19歳の怪物が躍動した。

追いつきたいアルゼンチンはメッシにボールを集めて反撃を図るが、カンテのマークに封じられて攻撃は不発。アディショナルタイムの3分、メッシのパスからようやくアグエロが1点を返すも時すでに遅し。このままフランスに3-4と敗れた。

試合終了後、勝利の立役者となって喜ぶエムバペと、啞然とした表情でピッチに佇むメッシの姿は、まさに主役交代を象徴する場面だった。

沈黙のロナウド

アルゼンチンの敗退が決まった同日の数時間後、ユーロ2014王者のポルトガルと古豪ウルグアイとの試合が行なわれた。

序盤からクリスティアーノ・ロナウドがシュートを放つなどポルトガルペースで進むが、前半7分に一瞬の隙を突いてルイス・スアレスが弾丸クロス。ゴールファーサイドへ飛び込んだエディソン・カバーニがダイナミックに叩き込み、ウルグアイが先制した。

ウルグアイはボール支配率で劣りながら、素早いプレスと球際の強さで対抗。55分にセットプレーからぺぺの同点弾を許すが、62分には再びカバーニが巧みなゴールを決めて勝ち越し。74分にはカバーニの負傷交代というアクシデントに見舞われるも、このまま逃げ切って2-1の勝利を収める。

一方ポルトガルの攻撃はいまひとつ噛み合わず、エースのロナウドも最後まで沈黙。不完全燃焼のまま大会を去ることになった。

準々決勝ではフランスとウルグアイが対戦。ウルグアイは負傷のカバーニを欠き、攻撃陣が停滞。40分にはグリーズマンのFKからDFバランの先制を許すと、61分にもグリーズマンの無回転シュートをGKムスレラがキャッチミス。痛恨の2点目を与えてしまった。

フランスは反撃に出たウルグアイを完璧に押さえ込み、エースのスアレスにシュートを打たせず2-0の快勝。3大会ぶりとなる準決勝へ名乗りを上げた。

優勝候補ブラジルの敗退

優勝候補のブラジルは、G/Lで王者ドイツを敗退に追い込んだメキシコとトーナメント1回戦で対戦した。0-0で折り返した後半の51分、ネイマールのヒールパスを受けたウィリアンがPエリア内で縦突破。その折り返しをネイマールがスライディングで押し込み、再三の好守を見せていたオチョアから先制点を奪った。

さらに終了直前の88分、スルーパスに抜け出したネイマールのシュートのこぼれ球を、途中出場のフィルミーノが押し込んで追加点。難敵メキシコを2-0と下し、ブラジルが準々決勝へ勝ち上がる。

勝利の殊勲者となったネイマールは「マン・オブ・ザ・マッチ」を獲得。G/Lではファール欲しさの大根演技で失笑を買ってしまったが、ここにきてようやく面目を取り戻した。

ベスト8に進んだブラジルは、2点をリードされながら後半アディショナルタイムの高速カウンターで日本を退けたベルギーと対戦する。

序盤からゲームを支配するカナリア軍団だが、13分にセットプレーから先制を許してしまう。コンパニーのヘディングがフェルナンジーニョに当たってオウンゴールとなるという、不運な失点だった。

追いつきたいブラジルは攻勢を強めるが、ベルギーはルカク、アザール、デ・ブルイネの3枚を前線に残しての守備固め。ブラジルの放った強烈ミドルも、守護神クルトワが好守で阻止した。

すると31分、ブラジルのCKからクリアボールを拾ったルカクが、パワフルなドリブルでDF網を突破。右サイドでボールを受けたデ・ブルイネが中央に切り込み右足を振り抜くと、左ネットを突き刺す追加点が決まった。

2点のビハインドを背負ったブラジルは必死の反撃。後半76分には投入されたばかりのレナト・アウグストが、コウチーニョのクロスにヘッドで合わせて1点差とする。

だがベルギーにとって1失点は計算のうち。慌てず騒がず守備に集中し、ブラジルの猛攻を凌いで2-1の勝利。32年ぶりとなるベスト4進出を決めた。

優勝候補のブラジルは、「ミネイロンの惨劇」に撃沈した4年前の屈辱を晴らすことなく準々決勝敗退。期待されたネイマールもわずかシュート3本に終わり、ここ一番での勝負弱さを露呈。チームを勝利に導くことができなかった。

フランス、3大会ぶりの決勝進出

準決勝は2度目の優勝を狙うフランスと、初の決勝進出を目指すベルギーの戦い。前半は一進一退の攻防が続いた。

19分にアザールが放ったシュートはバランが枠外へ弾き、直後にはアルバルバイレリドの反転シュートをGKロリスが鋭い反応で阻止。フランスもジルーのヘディングが枠を捉えきれず、前半終了直前にエムバペのスルーパスから生まれたチャンスは、クルトワの伸ばした足に防がれてしまった。

だが0-0で折り返した後半の51分、グリーズマンの右CKからDFウムティティが頭で合わせてフランスが先制する。このあとレ・ブルーは手堅く試合を進め、終盤には守備の選手を投入して逃げ切り体制。危なげなく1-0で試合を終わらせ、3大会ぶりとなる決勝進出を決めた。

開催国ロシアの快進撃

もうひとつの山では、開催国ロシアがトーナメント1回戦でスペインと対戦した。戦力で劣るロシアは、DF5人とMF4人をゴール前に並べた超守備的布陣。194㎝のFWジュバひとりを前線に残した。

圧倒的に受け身となったロシアは、11分にゴール右サイドでセットプレーを与えるピンチ。そこからのFKがセルヒオ・ラモスとともに倒れたDFイグナシェビッチの左足に当たり、オウンゴール。早くもスペインにリードを許してしまう。

ほとんど反撃の攻め手がないロシアだったが、40分に右CKを獲得。この千載一遇のチャンスに、クロスに合わせたジュバのヘッドがジェラール・ピケの腕に当たりハンド。これをジュバが勢いよく蹴り込み、ロシアが数少ない得点機をモノにして同点とした。

このあとロシアは徹底したプレスで守り切り、延長120分を終わってPK戦へ。PK戦ではロシアの守護神アキンフェエフが、スペインの2人を止める殊勲の働き。ホームの大声援を受けた開催国が、劣勢を跳ね返してみごとベスト8に勝ち上がった。

クロアチアとデンマークの試合は、開始4分でそれぞれがゴールを奪うという波乱の序盤となったが、その後は両者譲らずの展開。膠着状態となった試合は1-1のまま延長に突入する。

その延長後半の9分、モドリッチのスルーパスに抜け出したレビッチがPエリアで倒されクロアチアがPKを獲得。だがモドリッチのシュートは、コースを読んだカスパー・シュマイケルが好セーブ。北欧の名キーパー、ピーター・シュマイケルを父に持つ守護神のナイスプレーで、デンマークが絶体絶命のピンチを逃れた。

勝負はPK戦へともつれ、先攻デンマークの1人目をクロアチアの守護神スバシッチがストップ。クロアチアの1人目もシュマイケルが防いだ。2人目、3人目がともに決めたあと、デンマークの4人目をスバシッチが阻止。だがクロアチアの4人目もシュマイケルが弾き出してタイとする。

スバシッチはデンマークの5人目もみごとセーブ。シュマイケルはクロアチアの5人目ラキティッチに逆を突かれ、壮絶なキーパー勝負となったPK戦に決着がついた。

準々決勝はロシアとクロアチアの戦い。31分にロシアが先制するも、39分にクロアチアがクラマリッチのゴールで同点。このあと両者2試合連続の延長戦となり、105分にはCKからクロアチアが勝ち越し弾。だがホームの願いに押されたロシアも、115分にFKのチャンスでマリオ・フェルナンデスが頭で決めて同点。土壇場でPK戦に持ち込む。

PK戦は両チームのGKがともにナイスセーブを見せ、2人目を終わって1-1。しかしロシアの3人目、マリオ・フェルナンデスがキックを失敗。クロアチアが4-3とPK戦を制した。

こうしてロシアの快進撃は終わりを告げたが、下馬評の低さを覆して躍動したホストチームは、国民の温かい拍手に送られて大会をあとにした。

粘りのクロアチア、初の決勝へ

最後の準々決勝はイングランドとスウェーデンの対戦。イングランドは1回戦でコロンビアをPK戦で下し、スウェーデンは1回戦でスイスを1-0と退けていた。

試合は静かな立ち上がりを見せたが、30分にイングランドが左CKのチャンスを獲得。アーシュリー・ヤングのキックをハリー・マグワイヤがハイジャンプで捉え、イングランドの先制点が決まった。

後半59分には、リンガードのクロスからデレ・アリがヘッドで追加点。2-0と完勝したイングランドが28年ぶりのベスト4入りを果した。

こうしてイングランドとクロアチアが準決勝で対戦。開始4分、Pエリア前でボールを受けたデレ・アリが巧みなキープでモドリッチのファールを誘いFKのチャンスを獲得。トリッピアーが蹴ったFKは鮮やかな軌道を描き、ゴール上のネットを揺らした。

30分にもリンガードのパスに抜け出したケインがフリーでシュートを打つが、GKスパシッチの好守に阻まれ追加点は奪えない。

前半は守勢に回ってしまったクロアチアだが、後半に入ると徐々にペースを掴み始める。その68分、ブルサリコが右サイドから放ったクロスを、ペリシッチが左足ダイレクトボレーで叩き込んで同点。その4分後にもペリシッチが決定機を迎えるが、これは右ポストに嫌われて勝ち越しとはならなかった。

試合はこのまま90分を終え、延長戦に突入。クロアチアにとっては3戦連続となる延長だった。それでも選手たちは疲れを見せることなく、延長後半の109分、ペリシッチが頭で落としたボールに素早く反応したマンジュキッチがゴール。2-1と接戦をモノにしたクロアチアが、初となる決勝進出を果した。

このあと行なわれた3位決定戦では、ベルギーが日本戦を彷彿とさせる高速カウンターで先制。終盤の82分にも、デ・ブルイネのパスからアザールが豪快に蹴り込み追加点。ベルギーが2-0の完勝を収め、過去最高となる3位の成績を残して大会を終えた。

フランス優勝とMの衝撃

モスクワのルジキニ・スタジアムで行なわれた決勝は、会場に7万8千人の観客を集めて行なわれた。序盤はそれぞれ様子を窺いながらの慎重な立ち上がりとなったが、17分にPエリア前でグリーズマンが相手に寄せられ転倒。VTRではグリーズマンがスリップしただけのように見えたが、フランスにFKが与えられた。

そしてグリーズマンがゴールファーサイドへFKを蹴ると、クリアしようとしたマンジュキッチの頭をこすってオウンゴール。フランスはラッキーな形で先制点を手に入れた。

だがクロアチアはここからギアを上げ、28分にはセットプレーの流れから好調ペリシッチが強烈ミドルを突き刺して同点。早い段階で追いつく。

クロアチアが押し返したかと思えた34分、グリーズマンの蹴った右CKがペリシッチの腕に当たりVAR判定。これがハンドと認められ、グリーズマンが冷静に沈めてフランスが再びリードする。

後半に入るとさらにフランスの勢いは増し、52分にはエムバペが爆発的なスピードで右サイド突破。絡みつくDFをモノともせず放ったシュートは、スパシッチの果敢な寄せに防がれてしまった。

だがその3分後、再びエムバペが快速を飛ばしてサイドを突破。強引に打ったシュートの跳ね返りをグリーズマンがポストで繋ぐと、ポグバが左足でゴールを突き刺し追加点を決めた。

さらに65分、Pエリア外中央でボールを受けたエムバペが右足を振り抜きダメ押しの4点目。ほとんど勝負は決したかに思えたが、クロアチアは諦めることなくボールを追いかけ、69分にはマンジュキッチのプレッシャーがGKロリスのミスを誘い1点を返す。

しかしクロアチアの粘りもここまで。フランスは落ち着いて相手のプレスをかわし、残り時間を無失点に抑えて4-2の勝利。20年ぶり2度目となる栄冠に輝く。98年大会初優勝チームのキャプテンだったディディエ・デシャン監督は、選手と指揮官の両方で優勝を経験した史上3人目の人物となった。

大会MVP(ゴールデンボール)にはルカ・モドリッチが選出。大会得点王(ゴールデンシューズ)は6得点を記録したハリー・ケインが獲得した。

そしてベストヤングプレーヤー賞は、大会に衝撃を与えた “レ・ブルーの新・怪物モンスター” キリアン・エムバペが受賞。新時代の幕開けを告げるものとなった。

カテゴリー:サッカー史

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