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BS1「スポーツ × ヒューマン」宮市 亮

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スピードスターの悲劇と再起への決意

12日放送のBS1『スポーツ × ヒューマン』は、【 ”必ず戻る、決意の場所へ” ~ サッカー・宮市亮】 昨年の代表戦で大怪我を負い、一時は心折れながら、ピッチへの復帰を目指すスピードスターの知らざれる闘いに密着した内容。

去年7月のE-1東アジア選手権で10年ぶりの代表復帰を果した宮市選手。カタールW杯メンバー選出を目指して懸命にプレーするも、韓国戦で右膝前十字靱帯断裂という悲劇に見舞われてしまう。

宮市にとってこれが5度目となる靱帯の負傷。腱の移植手術を受けても完治まで6~8ヶ月掛かるという重傷に、「もういいでしょう、もう・・ありがとうこざいました」と心折れる音。翌日のSNSには「日本を代表してプレー出来る事、本当に幸せでした!」と、30歳を前に引退を示唆するメッセージが投稿された。

それを翻意させたのが、ホーム日産スタジアムでのチームメイトの励ましと、サポーターからの復帰を願う温かい声援。宮市は「折れかけていたところを、最後の最後で食い止めてくれた」と感涙し、もう一度このピッチに戻ってくることを決意する。

ヨーロッパでの挫折

宮市が一躍脚光を浴びたのは高校時代。守備陣を切り裂く圧倒的なスピードを武器とし、全国高校サッカー選手権では2年連続の大会優秀選手に選出。18歳でプレミアリーグの名門アーセナルと契約を交わす。当時Jリーグを経由しないビッグクラブ入団は、異例のことだった。

欧州挑戦の2シーズン目となる12年5月には日本代表に初選出。このままスターダムに駆け上がるかと思われた宮市だが、その先に待ち受けていたのは苛酷な試練だった。12年11月には右足首靱帯損傷の大怪我、15年には左膝前十字靱帯断裂の重傷を負い、17年にも右膝前十字靱帯断裂。18年は再び右膝前十字靱帯を痛める。

その他にもたび重なる故障に悩まされ、実力不足もありローン移籍で各クラブを転々。試合をしている期間よりリハビリをしている期間の方がはるかに長く、「プロリハビラー」「給料泥棒」と言われることも。ヨーロッパでの10年間は思い描いていたキャリアとは程遠いものになってしまう。

21年夏、日本に戻った宮市は横浜Fマリノスへ入団。「ヨーロッパに残りたかったが、気持ちとは裏腹に体が追いついてこなかった。まずは体を万全にして、キャリアを再スタートさせようと帰ってきた」とその時の心境を述べる。

リハビリに取り組む日々

「ただ怪我を治すだけでなく、以前より速く走れるようになる」を目標とする宮市は、地道なリハビリと地味なトレーニングに取り組み、膝への負担に弱かった身体を作り直し。手術から3ヶ月後の11月にはウェイトトレーニングを開始し、今年1月には5ヶ月ぶりの練習復帰。20mを何度も往復するシャトルランにも食らいついてゆき、期待以上の回復ぶりを見せた。

その宮市のモチベーションとなったのは、ヨーロッパでの経験。アーセナルを契約解除となったあと、当時ブンデスリーガ2部のFCザンクトパウリへ移籍。ここでのプレーをステップアップの腰掛けと考えていた宮市だが、2シーズン目の17年に右膝前十字靱帯断裂の重傷。そんな絶望の淵にいた彼に、クラブは1年のチャンスを与えてくれる。

これを境に「チームが負けていても、自分のプレーさえ良ければいいでしょ」と考えていた宮市のサッカー観が一変。自分のためにやっていたサッカーが、チームのためへと変わり始める。「クラブへ恩返ししたい」という想いが必死のリハビリと、ひたむきに練習へ取り組む姿に繋がっていったのだ。

2月には社会人チームとの練習試合に出場。地道なトレーニングは「ダッシュのスピードが、ケガ以前より速くなっている」の成果となって現れ、再起への歩みは順調に進んでいった。

しかし復帰戦を目前にした3月、練習中に右太腿裏の肉離れを起こして全治3週間の故障。再びリハビリのやり直しを余儀なくされる。それでも故障馴れしている宮市は、「自分のキャリアは上手くいかないことの方が多い。そのつど受け入れて前に進んでいくしかない」とどこまでも前向き。そのリハビリ期間には、裏方としてチームを支えた。

326日ぶりとなるホームのピッチ

5月、札幌で行なわれたサブメンバー中心のカップ戦で実戦復帰。10分ほどのプレー時間だったが、本格復帰へのスタートラインに立った。

同月28日、ついに日産スタジアムへ戻ってきた宮市は、326日ぶりとなるホームのピッチに立つ。その全力で走る姿は依然と変わらぬもので、相手の激しいチャージにもタフに対応。試合を終えてサポーターの祝福を受けた宮市は、「あの時から、またユニフォームを着てピッチに戻れたのが嬉しい」と涙を浮かべながらインタビューに答えた。

爽やかな笑顔も立ち振る舞いも、好青年そのものの宮市亮選手。不屈の精神力に加え、人なつっこさと感性豊かなパーソナリティー。それが誰からも愛されるスピードスターの魅力だ。

不屈の男の劇的決勝弾

番組はここで終わったが、6月10日に行なわれたJリーグ第16節・ホームゲームの柏レイソル戦で劇的な展開。2-3とリードされた試合終盤、マリノスは復帰3戦目となる宮市を投入。その87分には宮市が突破を仕掛け、ファールで止めたDF立田悠悟が直後の遅延行為と合わせて2枚のイエロー。レイソルを10人へと追い込む。

するとアディショナルタイムの94分、水沼宏太のクロスにアンデルソン・ロペスが頭で合わせて同点。その2分後にはレイソル高嶺朋樹の放った超ロングシュートであわやの場面を迎えるが、クロスバーに助けられてピンチを逃れる。

そしてタイムアップが迫った97分、マルコス・ジュニオールの折り返しに宮市が右足を振り抜き、ボールは相手DFに当たってネットを揺らす。宮市のゴールは去年の7月以来、約11ヶ月ぶり。復帰後初ゴールが、マリノスの4連勝を呼び込む殊勲の決勝弾となった。

ヒーローインタビューでは「こういう景色を待っていた・・ 諦めなければ何か変わるんだっていうものを、皆さんに感じ取って貰えれば本当に嬉しい」と、こみ上げるものを抑えながら魂のコメント。絶望の淵から戻ってきた不屈の男が、また新しいキャリアのスタートを切った。

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