黒澤明「羅生門」デジタル修復版

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『三大巨匠 奇跡の名画~4Kでよみがえる黒澤 溝口 小津』

27日、BSプレミアムで『三大巨匠 奇跡の名画~4Kでよみがえる黒澤 溝口 小津』という特集番組が放送されていた。

12月から放送が始まるBS4K8Kで、この三大巨匠のデジタル修復された映画が放映されるようで、その紹介のための番組。取り上げられていた作品は黒澤明『羅生門』『乱』、溝口健二『雨月物語』『山椒大夫』『近松物語』、小津安二郎『浮草』の6作品だった。

これらの作品でキーとなる人物が、邦画黄金時代の名カメラマン宮川一夫。宮川一夫さんはこの6作品中、『乱』を除く5作品でカメラマンを務めている。

『羅生門』の白黒世界

黒澤明がベネチア映画祭でグランプリを獲った50年の『羅生門』は、太陽に直接カメラ向け、タブーを打ち破って世界の映画人を驚かせた。巧みな光と影のコントラストを使って人間の心理状態も描写し、黒澤の演出を更に際立たせている。

『羅生門』が作られたのはカラー映像の時代ではなかったが、白と黒の間にデリケートな濃淡をつけ単純な白黒映像に留まらない深い奥行きを出すことに成功している。宮川一夫さんは光と影の鮮やかなコントラストを出すため、レフ板の代わりに大量の鏡を持ち込み反射した太陽の光を照明として使っている。

太陽を反射した照明は眩し過ぎて役者も苦労し、志村喬はそれで目を悪くしたりしている。その他画像のトーンを合わせるため、樹や草や葉っぱに墨などのスプレーで塗りつぶしたりというような工夫もしている。

デジタル修復された映像はフィルムの傷も修復され、色調も公開当時に近いように再現されている。昔この映画を見た人も、修復版を見れば何か新しいものを発見できるかもしれない。

修復されたのは映像だけではない。役者のセリフや効果音などもよりクリアになっており、三船敏郎の聞き取りにくい言葉も多少明瞭になっていることに期待したい。

クロサワを世界に紹介した功績者

『羅生門』は森の中の撮影も印象的だが、半分近く崩れかけたあの大きな羅生門もインパクトが強い。あの門のセットは映画の製作が伸びる間に黒澤の頭の中でイメージが膨らんで、撮影が決まったときにはあの大きなものになっていったそうだ。

出来上がった羅生門のセットは間口33m、奥行き22m、高さ20mという巨大な物で、それに降り注ぐ雨の量も半端なものではない。まさに日本人離れした黒澤のダイナミックな映像である。

この映画を世界に送り出したのは、日本でイタリア映画の配給を行なっていたジュリアナ・ストラミジョーリ女史だ。

ベネチア映画祭に日本映画を出品して欲しいと関係者から彼女に依頼があり、選んだのが『羅生門』である。大映が最初『羅生門』に難色を示したため、ストラミジョーリが字幕やフィルム輸送に掛かる費用も負担し出品している。

黒澤はこの映画がベネチア映画祭に出品されていることも知らず、グランプリを受賞してからその報を聞かされたそうだ。

この年のベネチアには『欲望という名の電車』や『巴里のアメリカ人』などの名作も出品されており、それらを押しのけグランプリを獲得したのはいかにこの作品が衝撃的だったかを窺わせる。

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