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映画「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」

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タイ発のヒット映画

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』は、カンニングを題材にした17年製作のタイ映画。そのスタイリッシュでサスペンス溢れる内容が評判を呼び、アジア各地でヒット、日本でも18年に公開され話題を呼んだ。

物語の主な登場人物は4人の若者。この4人を演じる役者たちは殆ど演技経験が無いらしいのだが、キャスティングが絶妙で違和感がない。

主役の頭脳明晰な女学生リンを演じるのは、モデル出身のチュティモン・ジョンジャルースックジン。そこまで美人ではないが、さすが本職がモデルだけあって佇まいは雰囲気たっぷり。日本でいえば蒼井優というところか。とにかくスタイルと眼力の強さが良く、終盤の試験官との追跡劇がサマになっている。

カンニングを巡るサスペンス

成績優秀なリンは奨学金を得て名門校に転入するが、そこで最初に仲良くなったのがグレース。グレースはルックスも性格も良く、彼女に頼まれたら誰も断れないだろうという可愛い女学生。それを演じるイッサヤー・ホースワンが、まんまの愛されキャラだ。

グレースのボーイフレンドで、リンに報酬を払ってのカンニングを持ちかける男子学生パットにティーラドン・スパパンピンヨー。まさにお金持ちのやんちゃなお坊ちゃんで、世間を舐めきっているという感じがぴったり。

リンと並ぶ優秀な頭脳を持つが、境遇に恵まれない苦学生バンク。リンのライバルで最初カンニングを告発するが、社会格差という壁に悩み苦しみながら、結局リンたちの作戦に協力していく。そんな複雑な役を、チャーノン・サンティナトークンが好演している。

パットに頼まれて悩みながらも、報酬を受け取って自分の回答をカンニングさせるリン。その試験会場場面での、ピアノの指運びを暗号化したカンニング伝達法が面白い。途中で2つの問題用紙がランダムに配られている事が判明、そこから俄にサスペンスが生まれる。

リンの微妙な指使いと学生たちの焦りの表情、それでスリルを盛り上げる演出は巧妙かつ斬新だ。だが試験官のキャラが定型的で、少し間抜けに見えるのが残念だったけど。

設定は微妙だがサスペンスは巧み

クライマックスはSTICという国際的な入試試験(映画の架空)でのカンニング。その方法は、世界で最初に試験が行なわれるシドニーでリンとバンクが受験、スマホを使って4時間遅れで試験があるタイに解答を送るという大胆かつ単純な作戦。

でもこの作戦、いくら天才といっても限られた時間での全問正解が前提。しかも追っかけられながらじゃ、答を思い出すどころじゃないだろうに。しかもスマホ頼りなんて不確実性の多い作戦は、現実味が薄くて今ひとつ乗れなかった。お馬鹿映画ならそれでも良いんだろうが、真面目な作品だけにもう少し工夫が欲しかったところ。

さらに言うと、リンが軽薄な金持ちに利用されている感が拭えず、カンニングが成功して欲しいと感じないのが残念。そのため最後の地下鉄での追跡劇では、リンが試験官に捕まったほうがすっきりしたかな。まあ最後にリンは自分の行為を後悔して、カンニングを白状するんだけど。

メッセージ性もあるし、主要人物の個性もしっかり描かれていて、その辺りは見応えのある作品になっていたと思う。自分としては入りきれない部分もあったが、サスペンスの巧さで充分に面白く見られる映画だ。

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