映画「デトロイト」

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17年公開の映画『デトロイト』は、67年に実際起きたデトロイト暴動でのアルジェ・モーテル事件を題材に、極限の状況で狂気を帯びていく人間の本質を、ドキュメンタリータッチで描き出した作品。

監督は『ハートロッカー』『セロ・ダーク・サーティー』のキャスリン・ビグロー。08年の『ハートロッカー』では女性として初めて、アカデミー作品賞のオスカー像を手にしている。

事件に巻き込まれる黒人警備員に、『スターウォーズ/フォースの覚醒』でフィン役に抜擢されたジョン・ボイエガ。若い差別主義警官フィリップ・クラウスを、イギリス俳優のウィル・ポールターが演じている。


アルジェ・モーテル事件とは暴動鎮圧に構成されたデトロイト市警・ミシガン州警察・ミシガン陸軍州兵による黒人への暴行・殺人事件。モーテルでたまたま暴動鎮圧の様子を窺っていた黒人の一人がおもちゃのピストルで鎮圧部隊を挑発、そこから警官たちの過剰な対処が行なわれる。

狙撃を受けたと誤解した警官隊たちはモーテルを特定し襲撃、逃げようとした黒人を射殺する。そしてその騒ぎに巻き込まれた黒人や白人女性が、発砲したグループと疑われ、暴力的で威圧的な尋問を受ける。その尋問を中心となって行なったのが、デトロイト市警のフリップ・クラウスと二人の部下。その差別的で驕慢な警官クラウスを、ウイル・ポールターが憎々しげに演じている。

クラウスの暴力的で行き過ぎた尋問により、さらに二人の黒人が犠牲となる。その現場に駆けつけた真面目な黒人警備員、ディスミュークス(ジョン・ボイエガ)もその事件を目撃しながら何も出来ないという無力感を味わうことになる。さらにミシガン州警察の指揮官は、黒人差別問題に関わりたくないと現場を離脱、当時の社会のマイノリティへの意識の低さが描かれる。

黒人を不当に射殺したクラウスは隠蔽工作を図るが、ばれてしまい部下とともに暴行罪と殺人罪で裁判を受けることになる。しかしその結果は無罪、差別意識がまだ深い時代の、構造的問題があぶり出されることになる。

白人警官に対する反発心から始まった悪戯が、ついには最悪の結果を招いてしまうという、極限状況での人間心理の怖さ。映画『デトロイト』ではその過程が、ディティールの積み重ねと倒的なリアリティーを持って丁寧に描かれる。

訴追を受けながらも、証拠不足で無実となってしまう当事者の警官たち。まさに差別される者たちには、厳しい現実が突きつけられるのだ。

最近のアカデミー賞でも『グリーンブック』や『ムーンライト』、『それでも夜は明ける』といった黒人差別を扱った作品が受賞しているが、それはまだこういった問題が、現在にも根強く残っていると言うことだろう。

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